迷子の警察音楽隊
監督:エラン・コリリン
出演:サッソン・ガーベイ、ロニ・エルカベッツ、サーレフ・バクリ、カリファ・ナトゥール、イマド・ジャバリン
時間:1h27
近所のミニシアターで観てきました。
本作は、カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」をはじめとした様々な映画祭で賞を獲得している作品で、私が行きつけにしているミニシアターでも鳴り物入りの上映となりました。
予告編もけっこう流していましたし、パンフレットも配布されていたのですが、私が観に行った回はなぜか客の入りがしょぼかったですね。
ただ、そんな客の入りとは反比例して、映画自体はなかなかよかったですよ。
文化交流のためにイスラエルにやってきたエジプトの警察音楽隊が、ひょんなことから迷子になってしまう。偶然立ち寄った食堂の女主人の助けもあって、なんとか泊まるところだけは確保したものの、もともとエジプトとイスラエルはそれほど仲の良い間柄でもなく、見ず知らずの他人の家に宿泊するということもあって、楽団員達はそれぞれの宿泊先でなんとなく気まずいムードに…。しかし、夜が更けていくにつれ、楽団員達も彼らが宿泊している先の人たちとしだいに打ち解けて、重苦しかった時間も少しずつ優しい雰囲気を帯びてくる…
大まかに書くとこんな感じのストーリーなんですが、これ、派手さはないんですけど、なんか、すごくいいんですよ。
「味わい深い」なんていう言葉で一括りにしてしまうとなんとなく安っぽくなってしまいますが、それでもなおかつ、「味わい深い」んです。
決して濃い味じゃないんですけど、いわゆるスルメ系の作品で、噛めば噛むほど味が出る感じです。
一つ一つのエピソードの中にも程よく緩い笑いも交えつつ、エンディングの楽団による合奏もグッとくるものがありますし、いわゆる、「良質の佳作」というやつでしょう。
全体的にすごく満足度の高い作品だったんですが、ただ、この作品をより深く楽しむためには、エジプトとイスラエルの関係や、現地で一般に聞かれている音楽の曲調などをおぼろげながらにでも知っておく必要があると思いますね。
私はそこらへんの事情について全くの無知なんですが、劇中になんどかそういったエジプトとイスラエルの国同士の関係が背景となっているようなシーンがあるんですね。
私みたいに無知全開で観てしまうと、それらのシーンがスルッと流れてしまうので、ちょっともったいないんですよね。
それと、本作に使われている音楽って、日本人の感覚からすると、なんとなく物悲しい感じがして本作の作風にマッチしない感じがするんですよね。
でも、現地で聞かれている音楽をおぼろげにでも知っておけば、音楽に対して耳が慣れますから、映画全体の雰囲気に対してもまた違った印象を持つことができたと思うんですよね。
映画を観る時にある程度の知識が必要になるっていうのがはたしていいことなのかどうかという問題は一旦置いておいて、それらの予備知識があれば本作に対する理解が深まることは事実でしょうね。