マクダル・パイナップルパン王子
監督:トー・ユエン
出演:アンディ・ラウ、サンドラ・ン、アンソニー・ウォン、レイ・ウィンイン
時間:1h30
私が住んでいるような地方都市にいると、海外のアニメーションをちゃんと見る機会が少ないんですけど、そんな、数少ない機会の中で、このアニメとぶつかったのは幸運でしたね。
舞台は都市再開発が進む香港。周囲の建物が次々と取り壊されていく物騒な状況の中にぽつんと残っている春田花花幼稚園。主人公のマクダルはその春田花花幼稚園に通う貧乏ゆすりが癖の幼稚園児です。
名門と呼ばれながらも"言い逃れの仕方"や"文句の言い方"など極めて俗物的なことしか教えない幼稚園に通いながらも、マクダルは、日々、それなりに楽しく暮らしています。
そんなある日、ハリーポッターの成功に刺激を受けたマクダルのお母さんミセス・マグは、自作の童話『パイナップルパン王子』をマクダルに話して聞かせます。
この童話の中で、主人公のパイナップルパン王子は幼いころに王宮を追い出されてしまいます。その後、世間に揉まれながらもピザカメ君などの友人を得て平凡な大人に成長し、コックとして生計を立てるが、ある日、一人の女性と恋に落ちます。王子としての過去を忘れてその女性と結婚し、人並みの幸せを手に入れようといったんは決意するのですが、あるとき王子はその女性に一通の手紙だけを残して、再び王宮に戻るべく旅に出ます。
ミセス・マグが語る『パイナップルパン王子』はこんな当たり障りのないごく普通の童話です。しかし、この童話の主人公であるパイナップルパン王子のモデルはマクダルのお父さんなんです。
シングルマザーとしての過去を童話にして子供に聞かせた母。
そんな事実を知ってか知らずか、その後もごく普通にすくすくと育つマクダル。
「過去と未来」「男と女」「理想と現実」など、この映画が描こうとしているテーマは、そのテーマだけを列挙するとかなりヘビーです。
しかし、主人公のマクダルをはじめとしたかわいいキャラクターたちがその重さを包み込んで映画全体にこの上なく柔らかな雰囲気を与えています。
ここ数年の日本のアニメにはなかなか見ることができない、正統派のかわいいキャラクターたちが活躍する深いテーマのアニメ、見終わった後、久しぶりに「いい作品を見た」ときの余韻が残りましたね。