間宮兄弟
監督:森田芳光
出演:佐々木蔵之介、塚地武雅、常盤貴子、沢尻エリカ、北川景子
時間:1h59

 塚地武雅、この絶対に一発変換することのできない名前を持った人物を始めてテレビで見たとき、彼はコントをやっていました。
 確か、アイドルオタクがクイズに答えるといった形式のコントだったように思います。ルックス的なものが原因なのか、それとも、内面からにじみ出る雰囲気が原因なのか定かではないのですが、アキバ系のキャラクターにどっぷりはまったその存在感に、テレビの前で夕食をとりながら私はケラケラ笑っていました。
 それ以来、ドランクドラゴンのコントはチョコチョコ見ていたんですけど、塚地武雅は、あるときは日本遊戯研究部に所属する学生、またあるときは妙に理屈っぽいレンタルビデオ屋の女性店員と、具体的な設定こそ変えているものの、いつも何らかのアキバ系のキャラクターを演じていました。
 アキバ系のキャラクターをコントの中で演じている塚地の振る舞いには、そっち系の人たちが持っている独特の雰囲気が漂っていて、私は「この人は素でそっち系の人なのかな?」と半ば本気で思っていました。
 しかし、この映画を見て私の塚地に対する印象は完全にかわりましたね。塚地ってものすごくすぐれた演技者なんですね。
 「これじゃ間宮兄弟じゃなくてマニア兄弟だ」
 映画の中の台詞があらわしているとおり、この映画の中で塚地が演じているキャラクターにも普段彼がコントで演じているキャラクターと共通するオタク的な要素が含まれています。しかし、本作に登場する塚地から感じ取れる雰囲気は、コントのときの塚地から感じられる怪しげな不気味さではなく、穏やかなやさしさです。
 缶ビール、コーヒー牛乳、餃子、塩むすび、本、テーブルゲーム、銭湯。塚地と佐々木蔵之助が演じるこの映画の主人公、間宮兄弟はそんなたくさんの小さな幸せに包まれて暮らしています。しかし、そんな小さな幸せとは裏腹に、彼らは最終的に自分たちの恋という大きな幸せを逃してしまいます。でも、それでもなお、彼らの「小さな幸せ」に満ちたやさしく温かい生活は変わりません。
「間宮兄弟を見てごらんよ、未だにいっしょに遊んでるじゃん」
 ふと見れば、いつでも一緒に遊んでる。いつでも仲良し、ずっと仲良し。
 この映画を見た後、そんな小さな小さなやさしさに包まれたような気がしました。

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