マッチポイント
監督:ウディ・アレン
出演:ジョナサン・リース・マイヤーズ、スカーレット・ヨハンソン、エミリー・モーティマー
時間:2h04

 東京、大阪、名古屋、札幌、福岡といった大都市圏に住んだことがないので、そういった大都市圏での映画の公開状況というものがよくわからないのですが、少なくとも私が今現在住んでいるような地方都市だと、ウディ・アレンの映画はだいたいミニシアターで公開されるんです。
 しかし、この『マッチポイント』はなぜかミニシアターではなく郊外にある大手のシネコンが公開してくれました。おかげで、ウディ・アレンの作品を始めて巨大スクリーンで見ることができました。
 でも、ここからがちょっと問題です。
 私は、平日の夕方18時頃から始まる回を選んで、この映画を見に行ったのですが、そのときの客の入り具合が逆の意味でものすごかったんです。具体的には下の写真を見てもらえるとわかると思うんですが…

 写真全体がちょっと暗くてわかりづらいかもしれませんが、なんと、客が私一人だったんです。
 近所のミニシアターがすごいマイナーな映画を上映したときに、客が自分ひとりっていう状況を一度だけ経験したことがあったんですが、シネコンの巨大スクリーンでまさか客が自分だけという状況になるとは思いもしませんでした。
 正直、一人だっていうことがわかった瞬間に、恥ずかしながら、ちょっとテンションがあがってしまって、少し後ろの方に座っていたにもかかわらずわざわざスクリーンの前まで小走りで降りていってスクリーンを背にして上に掲載している写真を取ってみたり、スクリーンに映る「マナーを守って鑑賞しましょう」的なメッセージ映像を尻目に、前の座席に思いっきり足を乗せながら映画を見たり、携帯の電源も切らなかったりと、不心得者全開で一人の空間を満喫しながらこの映画を鑑賞しました。
 さて、「客の入りがものすごく悪い」ということを書くと、なんだかこの映画がつまらないように聞こえてしまうかもしれませんが、とんでもありません。
 この映画、ムチャクチャおもしろいです。
 ここ数年のウディ・アレンの作品というと『メリンダとメリンダ』や『僕のニューヨークライフ』、『さよなら、さよならハリウッド』などがあげられると思いますが、これらの映画って、確かにおもしろいんですけど、そのインパクトっていう点では往年の『アニーホール』『ハンナとその姉妹』なんかと比べて、どっちかっていうと「佳作」っていう感じがしませんか?私の個人的な感想なんでしょうけど、ここに上げた映画って、見た後に、「なんとなく不完全燃焼のまんま終わっちゃった」っていう感じがどこかに残ったんですよ。
 でも、それに対して、この『マッチポイント』は見終わった後の満足感がハンパじゃないですね。
 両家のお嬢様である妻と、官能的な若いアメリカ人女優との間で揺れる主人公が、悩んだ挙句にとんでもないことを引き起こすんですけど、このねぇ〜、なんていうんですかねぇ。まとめ方っていうんですか?それがねぇ、本当に見事なんですよ。
 ネットにぶつかったテニスのボールのように、川に投げ捨てた指輪が柵に跳ね返って地面に落ちる、その落ちた場所は敵のコートなのか自分のコートなのか、敵のコートなら勝ち、自分コートなら負け。
 果たして、この映画の主人公は勝ったのか、負けたのか……
 これがねぇ、もう、ぜひ、自分の目でこの映画の結末を確認して欲しいですねぇ。
 エンドロールが終わって、暗かった映画館の明かりがうっすらとともったとき、間違いなく心の中で「う〜〜ん…」てうなると思います。
 ウディ・アレンが映画製作の場をこれまでのニューヨークからロンドンに移した最初の作品ですけど、そうですねぇ、なんか、本当に、「やられたなぁ〜〜」って感じですね。

Official Site

Home