メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
監督:トミー・リー・ジョーンズ
出演:トミー・リー・ジョーンズ、バリー・ペッパー、ドワイト・ヨーカム、ジャニュアリー・ジョーンズ、メリッサ・レオ
時間:2h02
最近の映画には「臭さ」がないですよね。
『用心棒』の三船敏郎や、『髪結いの亭主』のアンナ・ガリエナはその典型だと思うんですけど、一昔前の映画には500メートル先からでもそのにおいを感知できるような、むせ返るような男臭さや女臭さが目いっぱい詰まっている役者、もしくは、キャラクターがちょこちょこ出ていました。
ところが、最近の映画にはあの「うわーっ」と(良い意味で)身の毛もよだつような男臭さや女臭さを持ったキャラクターが全く出てきません。
特に、最近の邦画に出てくるキャラクターは、確かに味はあるんですけど、映画のキャラクターというものを超えた生身の動物としての臭さのようなものを持ったキャラクターが皆無です。
しかし、そんな昨今の潮流の中で、この『メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬』には動物的な男臭さや女臭さを持ったキャラクターがガッツリと出てきます。
まず、主役のトミー・リー・ジョーンズ。これは男臭いです!!
個人的に、トミー・リー・ジョーンズというとどうしても『メン・イン・ブラック』のイメージでみてしまうんですが(特に、最近は缶コーヒーのCMにも出てますし…)、本作ではテキサスとメキシコの国境沿いで生きる田舎のカウボーイをこれ異常ないほど好演しています。
あの無精ひげを生やした仏頂面から漂う男臭さ、ラストシーンでバリー・ペッパー演じる若造に投げかける台詞(この台詞はぜひとも自分自身の耳で聞いてもらいたいですね)から滲み出ている男臭さは只者ではありません。
次に、田舎町にあるカフェ(っていうか食堂?)の奥さんを演じるメリッサ・レオ。
この女臭さも只者じゃないですね。
この映画の中に、彼女が、SEXのときに勃たなかった不倫相手の国境警備隊員を慰めるシーンがあるんですが、このときに彼女が披露するヌードの女臭さがものすごいんです。
1960年生まれ、もう若くはないメリッサ・レオの少しくたびれた体がこの上なくセクシーで魅力的なんです。
この二人の魅力だけでもおなかいっぱいなんですけど、この映画、ストリーもいいし、ラストの終わり方もすばらしいですね。
パンフレットなどには「カンヌ国際映画祭で激賞!!」と書かれていますけど、それも当然でしょうね。
最後に、映画全体の三分の二ぐらいを通過したあたりに、山間にあるボロボロの食堂で、遺体をメキシコに運ぶ主人公が休憩を取るシーンがあるんですけど、このボロボロの食堂で流れているBGMがショパンの『別れの曲』なんです。
全く場違いのシチュエーションで、今にも壊れそうなピアノから聞こえてくるその旋律は、今までに聞いたどんな映画音楽よりも迫力がありました。