ミルコのひかり
監督:クリスティアーノ・ボルトーネ
出演:ルカ・カプリオッティ、シモーネ・グッリー、アンドレア・グッソーニ、ミケレ・イオリオ
時間:1h40
近所のミニシアターでみてきました。
休日の昼からの上映回にしては客の入りがボチボチだったんですが、この映画、内容的にはものすごくいいですよ。
普通の子供として普通の暮らしをしていたミルコは、事故で視力を失ってしまいます。当時のイタリアの法律で、視覚障害者用の全寮制寄宿学校に入れられてしまったミルコは、そこで学校の古い風習やしがらみと苦闘しながらも、“音”という自分自身の表現方法を確立していきますが……
大まかに書くとこんな感じのストーリーなんですが、いやぁ〜、これねぇ、本当にいい映画ですよ。
ていうか、これ、イタリアにいる実在の映画音響技師であるミルコ・メンカッチという人物の少年時代をもとにして作った実話発信の映画なんです。
日本で、こういった身体的に生涯のある人をモチーフにした映画を作るとどうしても説教臭くなるんですが、本作は、そういった説教臭さを全く感じさせないものすごく純度の高いオプティミズムに満たされた作品です。
この映画って、確かに、観る人によっては、そこに込められた希望の純度の高さが障害を持つ人のリアリティを写し取っていないと考えてしまって、なんとなく鼻につくという人もいるかもしれませんが、でも、ごく個人的なことを言わせて貰えば、やっぱり、過剰なペシミズムや説教臭さよりも、例え無責任だったとしてもカラッとした楽観主義の方が、「生きる」というフィールドにおいて一歩踏み出す助けになると思うんですよね。
実際、現実に障害を持つ人がたくさんいる中で、この映画に登場するミルコのように、自分の生き方をかげながら支えてくれる担任の先生や、“音”による自己表現というミルコの表現方法に共感してくれる仲間と出会えるような人はすごく少ないと思うんです。
それでも、「そういう現実があるから」と頭から決め込んで悲観的に生ていたら、それこそ誰とも出会えなくなってしまうじゃないですか。
ものすごく安易でつたない表現になってしまいますが、それでも尚且つ、「自分ひとりじゃ何もできない」ですし、「仲間がいてこそ自分も輝ける」と思うんですよ。
一歩も足を踏み出すことなく、そこに留まっていたら、何も変わらないですよね。
この映画は1970年のイタリアが舞台なんですが、イタリアではその5年後の75年に視覚障害者に対する法律が改正されて、視覚障害を持つ人と普通の人とが同じ学校に通うことができるようになったそうです。
この映画のラストは、寄宿学校から戻ってきたミルコがかつての友達と「鬼ごっこ」をするシーンなんですが、そこでいわれる最後の台詞がいいんですよ。
もう、ネタバレになっちゃいますけど、書いちゃいます。
「お帰り、ミルコ」
これは、泣いちゃいますよ。