≒草間彌生 わたし大好き
監督:松本貴子
出演:草間彌生
時間:1h42
近所のミニシアターで観てきました。
普段、あまり、美術系には縁がないので美術関係の著名人はほとんど知らないんですが、本作がフィーチャーしている草間彌生に関しては、以前、TV東京が製作している「たけしの誰でもピカソ」に出演していたのを観たことがあったので、なんとなく記憶に残っていました。
テレビで観たときは、「変わったオバサンだなぁ…」ぐらいの印象しかなかったんですが、本作のように、たくさんの作品と一緒にその生き様をビシッと見せ付けられると、この人が一筋縄ではいかないとんでもない人物だっていうことが如実にわかりますね。
本作は全体で100分ほどの長さの作品なんですが、この100分間のあいだ、草間彌生はずっと自分の作品と自分自身に対して自画自賛を繰り返しています。
確かに、作品も生き様もものすごいので、自画自賛してもらっても全然いいんですけど、それでも、普通は謙遜するじゃないですか。
大きな賞とかをもらっても、「いやいや、私みたいなものは皆さんのお力に支えられて…」的なことを言うじゃないですか、普通は…
ところが、草間彌生は違います。
「私は時代の先を走り続けてきましたし…」とか「他の人の作品に影響されたことはないですね」みたいなことをビシッ!!と言い切るんですよ。
あくまでも私の推測ですけど、美術系の人って、みんなこういう「オレってすごい!!」的な唯我独尊思想を持っていると思うんですよ。
でも、普通の人はその唯我独尊思想を「常識」という抑圧のもとで押さえ込んでいるわけですよね。
ところが、その「オレすごい!!」の部分を全く臆することなく表に出す。
この内なる気持ちをを思いっきり出していく態度って、作品の創造と無関係じゃないと思うんですよね。
「作品の創造」という自己の内面を外部に向かって発散する行為に対して、他人の評価とか美術界の流行といった要素はその「内面の発散」を抑圧する働きを持ちますが、この外的な抑圧要素をものともせずに吹っ飛ばすパワー、これが、作品の純粋性や製作に対する純粋さを生むんでしょうね。
自己の内面を外側に発散するということに関しては、洋の東西を問わず、何がしかの抑圧要素があるものだと思うんですね。
その抑圧要ををフッ飛ばせるだけの人間としての強さを持つ人だけが、「本物」と呼ばれる存在になれるのかなぁと、本作を見ながらふとそんなことを思いました。
補足
本作をAmazonで検索してみたら、2008.5.16現在、DVDはまだ出ていないみたいなんですが、大版の書籍が出版されていました。映像版とは趣が違うかもしれませんが、こちらもなかなかいい感じです。