緑玉紳士
監督:栗田やすお
出演:ワタナベイビー、我衆院達也、田中要次
時間:48m
家の中に引きこもって、なんだか知らないけどゴチャゴチャやっている。
普通の人なら、この状態は、完全に、「あらぬ道への第一歩」という感じがしますが、本作『緑玉紳士』を作った栗田やすお氏は、全部で50分近くあるこのクレーアニメを4年半かけてたった一人で作ったそうです。
これ、実際に作品が出来上がって、発表されてからはよかったと思うんですけど、作品を作ってる過程はどうだったんでしょうね。
実家で作ってたのか、一人暮らしのアパートで作ってたのか知りませんけど、親御さんも、最近話題の「引きこもり」に自分の息子がなってしまったのではないかと気が気ではなかったのではないでしょうか?
「母さんの教育が悪いから、やすおが…、こんな……」
「あなただって、やすおの大切な時期に「仕事だ仕事だ」って家を空けてばっかりで、あの子が…、どんな気持ちで……」
そんなベタなやり取りの後に、「母親が一人鏡台の前で泣き崩れる」みたいな状況が一度や二度はあったんじゃないでしょうか?
詳しい事情はわかりませんが、本当に作品として完成してよかったと思います。
で、実際にその作品を見た感じですが、この映画、「メチャクチャおもしろい!!!!!!」です。
監督である栗田氏は「『ウォレスとグルミット』に触発されてこの作品を作った」ということをいっているみたいですけど、私が見た感じ、『ウォレスとグルミット』よりもおもしろいです!!!!!
ストーリーは、トランクにメガネを入れて売り歩いているグリーンピースが、ひょんなことから復活したコインの悪魔ジョーカーにその大切なトランクを奪われてしまい、それを取り返しに悪魔の世界へ行くという比較的シンプルなものですが、そのシンプルなストーリーの裏に、ものすごくしっかりした世界観が構築されていて、なんか、「ただものではない」感じがヒシヒシと伝わってきます。
実際、公式ホームページには、『緑玉紳士』の舞台になる世界の地図まで公開されていますからね。
以前、何かのテレビ番組で、倉本聰が、『北の国から』では実際に映像化しなくても登場人物の生年月日や出身校など、過去の情報を全て設定していた、なんてことをいっているのを聞いたことがありますが、『緑玉紳士』の監督である栗田やすお氏にも、どこかそれに似た「完全主義的な雰囲気」を感じます。
質のよいもの悪いもの、っていうのは一概に決められるものではないと思いますけど、この『緑玉紳士』は間違いなく「質のよいもの」に分類されると思います。