サラバンド
監督:イングマール・ベルイマン
出演: リブ・ウルマン、エルランド・ヨセフソン、ボリエ・アールステット、ユーリア・ダフヴェニウス、グンネル・フレッド
時間:1h52

 スウェーデンの映画監督イングマール・ベルイマンが20年ぶりに監督した最新作です。
 この作品、同じくMovieコーナーに感想をupしている『ある結婚の風景』という作品の続編なんですが、本作も、前作と全く同じ手法で構成され、淡々と話が進んでいきます。
 劇中、実際に登場するのはたったの4人、その4人が、手を変え、品を変え、場所を変え、相手を変え、しながら一対一で延々と話し合う。
 その会話の様子を一言一句丹念にまとめたのがこの映画です。
 そんな作りの映画ですので、どうしても、作品全体にかなり「文芸」な雰囲気が漂っています。
 ですから、そういった雰囲気が苦手な人にとっては、かなり辛い映画かも知れません。
 でも、この映画、やっぱりじっくり見ていると、作りこんでる感がものすごくあります。
 なにがすごいって、やっぱり、本作の最も中心的な人物が一回も劇中に登場していないという点でしょうね。
 劇中の登場人物は、前作『ある夫婦の結婚』の主人公であるヨハンとマリアン、そして、ヨハンの息子に当たるヘンリックと、そのヘンリックの娘でヨハンから見ると孫娘に当たるカーリンの4人なんですが、劇中、最も存在感のあるキャラクターはこの4人ではなく、二年前に死んだ人物として写真だけで登場するアンナという女性です。
 このアンナ、ヘンリックの妻でありカーリンの母にあたるキャラクターなんですが、結局、この人物の死から全てがはじまっているようなところがあるんです。
 4人の登場人物が交わす会話によって、見ているこちら側も、少しづつ、少しづつ、この登場しないアンナというキャラクターに引きこまれていきます。
 「人間の深淵を描いた作品で……」なんてことを言うと、いきなり安っぽくなりますけど、ほんの些細なことをきっかけに破滅的な方向へと緩やかに進んでいってしまう人間の脆さと、そんな破滅に向っている人のことをどうすることもできない、人間の弱さと無力さをキッチリ描いている映画だと思います。

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