死者の書
監督:川本喜八郎
出演(声):宮沢りえ、観世銕之丞、榎木孝明、江守徹、三谷昇
時間:1h24

 近所のミニシアターで見てきました。
 本作は川本喜八郎の監督作品なんですが、以前、同じミニシアターで見た『川本喜八郎短編集』がかなりよかったので、本作も期待して観に行きました。
 で、結論ですが、かなりよかったです。
 原作は折口信夫の作品なのですが、たぶん、この手の作品は実写で映像化するとものすごく陳腐な作品になってしまうと思うんです。ですから、本作のように、人形劇として映像化するというのは原作の雰囲気を損なわない意味でも最良の表現方法だったと思います。
 さて、本作は、全体で110分ほどの作品なのですが、本編の最初に『死者の書』の基礎知識をまとめたよう映像が、NHK教育テレビのような雰囲気で20分ほど流れます。そして、本編が終わった後のエンドロールも、携わっている人が多いせいか作品の長さの割にやたらと長いので、本編の実質的な時間はたぶん45分弱、一歩間違えれば、40分ぐらいかもしれません。
 ですから、川本喜八郎の世界観を思う存分楽しみたいという人にとっては少し不完全燃焼で終わってしまう作品かもしれません。
 しかし、だからといって、冒頭20分の資料映像が無駄かというと決してそうではありません。
 この作品、基本的な骨組みは、「謀反の罪で処刑された大津皇子の魂が、処刑の直前に一瞬だけ見た耳面刀自(みみものとじ 女性)の面影を忘れられずにこの世をさまようが、聡明で美しい藤原南家の郎女のひたむきな信仰によって、沈められる」という比較的シンプルなものです。しかし、この骨組みを味付けする舞台設定が現代人の感覚からするとかなり異質で、最近の流行言葉を使うと、かなり「スピリチュアル」な感じなので、何の前触れもなく、いきなり本編に接してしまうと、「?」で終わってしまう可能性があります。
 ですから、冒頭20分の作品解説を聞きながら、自分の心の持ちようを本作の舞台である奈良時代まで1300年ほどギュルギュルギュルっと巻き戻して、奈良時代の、まだ人間と神の境界があいまいであったころの精神状態に戻してから、じっくりと腰をすえてみることが必要になると思います。
 アマゾンで検索すると、この作品、まだDVD化の予定はないみたいですが、DVDになったら是非、購入したいと思います。

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