西瓜
監督:ツァイ・ミンリャン
出演:リー・カンション、チェン・シャンチー、ルー・イーチン
時間:1h52
中国にAVってあるんですか?
あるとしたら、どんな感じのヤツ?
先日、例のごとく、近所のミニシアターでこの『西瓜』という台湾の映画を見てきたんです。
この作品の主人公(?)、AV男優という設定なんですけど、中国ってAVあるんですか?
なんとなく、私の勝手な思い込みかもしれませんが、中国ってそういうのにものすごく厳しいようなイメージがあるんですよ。もっとも、この映画は台湾の作品ですから、中国本土よりはそういう規制もゆるいのかなぁという気はしますが、性産業に対しておおらか過ぎるぐらいおおらかな日本という国で生まれ育ち、その感覚で、中国や台湾という国々を見てみると、やっぱり、ちょっと、「厳しそうだなぁ〜・・・」という、イメージは持ってしまいますね。
さて、この映画、ストーリーとしては、性にも生にも乾いている女シャンチーと、AV男優を生業とするシャオカンという一組の男女を描いた純愛ものなんですが、映画全体としては普通の映画というよりも、どちらかというと、アートフィルムといった性格が強いように思います。
全編を通じて、ほとんど台詞はありませんし、何の前触れもなく突然ミュージカルみたいなことが起こりますから、この映画独自の「ノリ」みたいなものについていけないと、「う〜ん……」と唸ったまんま終わってしまいます。
実際、私もちょっと「唸ったまま終わった」的なところがあるんですよ(特に、ミュージカルシーンですね。あのミュージカルシーンに関しては、監督が遊び心で劇中にコントを入れようとしているとしか思えないんですが・・・)。DVDを買おうという気もあまり起こりませんし・・・
でも、「男が女に自分がAV男優であることを隠そうとする」といった点や、「AV男優であるということがばれてしまった後の二人」といったストーリーの柱になる部分は俳優さんたちの繊細な演技で十分に伝わりますから、少し毛色は違いますけど、恋愛映画の変化球として十分に楽しむことができます。
台湾や中国では映画の内容よりも、過激な無修正セックス描写が話題になったらしいですが、日本人のように(たぶん欧米人とかもそうだと思うんですけど)「エロ満開」の環境で生まれ育った人が見ると、それほど問題にするようなあアレでもないような気がするんです・・・。
むしろ、じっくり腰をすえて、劇中で表現されている人間の心の動きを楽しむほうが、この映画をより深く楽しむことができると思います。
なんだか、映画の中身よりも、ツァイ・ミンリャン(蔡明亮)という監督の名前や、性描写に関することばかりが話題になっているし、また、そういったことを話題にしたいというような意図も見え隠れする映画ですが、ちゃんと観てみると、純愛映画というカテゴリーの中にきっちり納まっている映画です。