スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー
監督:シドニー・ポラック
出演:フランク・ゲーリー、シドニー・ポラック、デニス・ホッパー、ジュリアン・シュナーベル、ボブ・ゲルドフ
時間:1h24

 近所のミニシアターで見てきました。
 建築家であるフランク・ゲーリーの創作の秘密に迫ったドキュメンタリーです。
 建築に全く興味がないので、フランク・ゲーリーという名前も本作で初めて知ったのですが、そんな、建築系に全く興味のない人間でも本作は十分に楽しめました。
 このフランク・ゲーリーという人は、
 頭の中のイメージ→スケッチ→模型→実物
という手順を踏んで、建物を作っていくのですが、頭の中のイメージと実際の建物との間をつなぐスケッチと模型が実におもしろいです。
 むかし、初代ウルトラマンに「四次元怪獣ブルトン」ていうやつが出てきたんですけど、知ってますか?
 頭があるでもなく、足があるでもなく、あちこちが不定形にボコボコと出っ張ったりへっこんだりしている塊状の怪獣なんですけど、本作に登場するフランク・ゲーリーが描くスケッチは、このブルトンに激似です。
 どこが入り口で、何階建ての建物なのか、外から見ただけではそういった建物に関する基本的な情報が全くわからないような不思議な形のスケッチが一枚の紙切れに描かれます。
 そして、そのスケッチをもとにして模型が作られるのですが、この模型もまた完全にブルトンです。
 さすがに、このまんま建物を造るわけじゃないだろうと思うと、出来上がった建物もブルトンです。
 結局、このフランク・ゲーリーという人は、「自分の頭の中に浮かんだイメージをどれだけ崩すことなくそのまんま表に出すか」という点をものすごく重視しているみたいですね。
 出来上がった建物は、さっきも言ったようにブルトンなので、四角四面のビル群の中に不定形の曲線を持った不可解な巨大物体がたたずんでいる姿は、ものすごく強いインパクトと違和感があります。
 ただ、違和感を持った物体がそこにあるということが、決して気持ちの悪い感覚としてではなく、砂漠のオアシスみたいなホッと一息つける場所を見つけたような心地よい雰囲気を持つものとして感じられるんです。
 実際、自分住んでいる町にこういう建物があったら、瞬間的に「ハッ?」と思いますけど、同時に「入ってみたい」と思いますね。
 やっぱり、正確な四角四面の形って、作業効率といった面では優れているかもしれませんけど、人間の心にとっては不可解な異物なんじゃないでしょうか。
 むしろ、このフランク・ゲーリーが作るようななんだかわからない不定形なグネグネ感が、気持ち悪いようで実は心地よいのかもしれません。

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