上海の伯爵夫人
監督:ジェームズ・アイヴォリー
出演:レイフ・ファインズ、ナターシャ・リチャードソン、真田広之、ヴァネッサ・レッドブレイヴ
時間:2h15
近所のミニシアターで見てきました。
私が見に行った日は、この映画の公開初日だったのですが、正直、あんまり客の入りは良くありませんでした。
ミニシアターの中がものすごくガランとしていたので、座っている客の数を数えたのですが、私を含めて12人でした。
その後、映画が始まってから、何人か入場してきた人がいたみたいですけど、人数的には焼け石に水でしょう。
英中合作映画で真田広之も出演してますから、十分話題作といえるとおもうんですけど、いまいち話題にならなかったんでしょうか?
東京とか大阪とか、大都市圏でもこんな感じなんでしょうか?
だとしたら、この映画の興行成績は寂しい感じになってしまいそうな予感がします。
さて、肝心の映画の中身についてですが、なんというか、かなり「文芸」な感じに仕上がっています。
本作の脚本を担当したのがカズオ・イシグロということで、「文芸なテイストの映画なんだろうなぁ」ということは予め想像がつきましたけど、本作は、それを考慮にいれてもなんだか妙に重たい感じのする作品でした。
『日の名残』って全体で何分ぐらいの映画でしたっけ?
アンソニー・ホプキンスが出演していた『日の名残』も、同じ、カズオ・イシグロが原作でしたけど、あちらの映画を見たときには「大人の映画だなぁ…」とは感じましたけど、「長いなぁ…」とは感じなかったんですよ。
ところが、本作の『上海の伯爵夫人』の方は、見ている途中で「ちょっと長いなぁ…」と思う波が何回も来ました。
全体は136分ということで、必ずしも長い作品というわけではないんですけど、なぜか、妙に長さが気になる作品でしたね。
特に、途中で出てくる、「一年後」っていう表示ですね。
これが出て来たときには、肩の上にズシッと何かがのしかかったような感じがしました。
こういうふうに書いてくると、なんだか全然面白くない作品みたいな感じがするんですけど、内容的には決してつまらない作品ではないですよ。
没落したロシアの伯爵夫人とアメリカ人外交官との微妙な距離感を保った大人の恋愛が展開されますから、岡田真澄のような成熟したアダルティーな雰囲気の方が見るとこの上なく楽しめる作品だと思います。
私はカズオ・イシグロの作品て読んだことがないんですけど、さっきちょっと触れた『日の名残』も、メインとなるテーマは大人の男と大人の女が繰り広げる微妙な距離感の恋愛ですよね。
この独特の距離感ていうのは、カズオ・イシグロの作品の中で主題的な意味合いを持っているんでしょうか?
パトリス・ルコントが描く距離感ともまた一味違いますし、他の外国映画ではあんまり見ることのできない独特の距離感なので、何となく気になりますね。
ただ、個人的に、本作で一番目を引いたのは、やはりというかなんというか、真田広之でしたね。
ていうか、今ごろこんなことをいうのはどうかとおもいますけど、真田広之ってカッコイイですね。
本作で真田広之は、『ラストエンペラー』で坂本龍一が演じていた「甘粕正彦」と同じような感じの、影のある日本人外交官「マツダ」を演じているんですが、髪の毛をぴっちり七三分けにしてビシッとスーツを着こなしている感じがものすごくカッコイイです。
ていうか、真田広之は、現代風の格好よりも、こういう一昔前の格好のほうが似合うのかもしれません。
『ラストサムライ』や『たそがれ清兵衛』のときの着物姿もいい感じでしたしね。
やっぱり身体のサイズが日本人的なんでしょうか…
全体的に文芸な感じが強いので、気軽に見れるタイプの作品ではないかもしれませんが、大人の方がじっくり腰を据えて見るにはすごくいい映画だとおもいます。