題名のない子守唄
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:クセニア・ラパポルト、ミケーレ・プラチド、クラウディア・ジェリーニ、ピエラ・デッリ・エスポスティ
時間:2h01

 2008年1月2日、近所のミニシアターで観てきました。
 本作が私にとって2008年最初の一本です。
 監督がジュゼッペ・トルナトーレということで、奇をてらったおかしなことはしないだろうと思い、安心して観に行ったんですが、案の定、オーソドックスな手法でありながら冒頭から最後まで終始ハラハラドキドキさせてくれるすばらしい作品で、本当に、心から堪能しました。
 ジュゼッペ・トルナトーレというとどうしても『ニューシネマパラダイス』のイメージがありますが、本作は、『ニューシネマパラダイス』の牧歌的で平和な作風とは打って変わって、同じトルナトーレ監督の作品の中でもどちらかというと『教授とよばれた男』が持つ緊張感張り詰める雰囲気に近い作品ですね。
 ある日突然、イレーヌと名乗る女がイタリアの町にやってきます。かつて、売春婦としてはたらき、そこで過酷な性的労働を強いられていた過去を持つイレーヌですが、彼女ななぜか、金細工を生業とするアガテル家の真向かいのアパートを借り、アガテル家の監視を始めます。そして、最終的には、アガテル家で働いていた家政婦を再起不能の目にあわせて自分が代わりにアガテル家に家政婦としてもぐりこみます。イレーヌはなぜアガテル家にこだわるのか?彼女の狙いはいったい何なのか?物語は圧倒的な緊張感を維持したまま、とてつもないラストに向かって収束していきます。
 私が観に行ったミニシアターでは、この映画の宣伝文句として「感動作!!」という言葉が使われていたんですが、これねぇ、「感動」って感じじゃないですよ…
 ていうか、これ、男目線でみるか女目線でみるかによって抱く感想が大きく変わるような気がするんです。
 女目線で見た場合、この作品は自分の内にある「母性」が映画の内容に共感して、ある種の感動を呼び起こすのかもしれませんが、男目線で見た場合、「母性」というもののあまりの強さにしり込みしてしまい、正直、女という生き物がちょっと怖くなります。
 私は男性ですが、やっぱり、怖くなりましたもん。女が…
 母性に開眼した女という生き物はこういう生き方ができるのか…、という感じで、まぁ、怖いです。
 本作が始まる前に監督自身のメッセージが表示され、「ラストはばらすな!!」と念を押されますから、ラストに限らず内容に関してはできるかぎり触れませんが、この映画の展開と、その終着点として用意されているラストは本当にすごいですよ。
 もっと具体的にいうと、ラスト20分ぐらいはもう、これは…
 とてつもなく重い映画なので、映画を見終わった後に楽しい雰囲気になりたい人にはあんまりお勧めできないですけど、一つの物語としてものすごく秀逸な作品なので、映画好き、ドラマ好きの人には胸をはってお勧めできる傑作です。
 さすがはジュゼッペ・トルナトーレ、2008年の映画ライフがこの映画から始まって心からよかったと思います。

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