ディナーラッシュ
監督:ボブ・ジラルディ
出演:ダニー・アイエロ、エドアルド・バレリーニ、カーク・アセヴェド
時間:1h39
本作の監督であるボブ・ジラルディはもともとCMやミュージックビデオを作っていた人らしいですね。
確かに、いわれてみれば、この『ディナーラッシュ』はCMっぽいカットが多いような気がします。
カットをいれずに長い時間をずっと取るという「映画」の手法は本作ではあまり用いられていません。
比較的短いシーンを連続してつなぎ合わせることで、いわゆる「今っぽい」作品に仕上げています。
こういう書き方をすると、なんだかすごく薄っぺらくてつまらない作品のように聞こえるかも知れませんが、この『ディナーラッシュ』は非常に完成度の高いおもしろい作品に仕上がっています。
やっぱり、映画全体に神経が行きとどいているというか、作品に無駄がないんですよね。
もともと、全体で100分弱という手ごろな長さの作品なんですが、その中に余分な部分も足りない部分も全く無いんです。どのシーンも必要だし、どのシーンにも間延びが無いんです。
映画の舞台設定はほぼ固定されていて、映画のほとんどがレストランの中です。
映画によっては、なまじ舞台を固定してしまったがために、何となく窮屈なしあがりになってしまったりするものもあるのですが、この映画に関していえば、レストランという限られた空間に舞台を固定したのは凄く秀逸だったように思います。
実際、この映画の監督であるボブ・ジラルディは実際にレストランを何軒かオーナーとして保有しているそうで、劇中に出てくる厨房のシーンや客席の雰囲気などは凄くリアルで、他の映画では決して味わえないような緊迫感と独特の迫力を持っています。
この込み合う店内や戦場のような忙しさを見せる厨房の描写は、登場人物の様々に交錯する内面を表す状況としてうってつけのように思えます。
二人組みのギャング、博打好きの副シェフ、画家を目指すウェイトレス、シェフと肉体関係にある料理評論家、ひょっこり現れた刑事の夫婦、ウォール街で働くビジネスマン、厭味な画廊のオーナーといった、個性溢れる登場人物達が描き出す様々な人間模様を、レストランのオーナーである父親と新進気鋭の人気シェフである息子との対立を軸にしながら、上手いことまとめ上げています。
最近の映画って、見終わった後になんだか妙なモヤモヤ感が残って、見た後の心持が今ひとつよくないという作品が多いのですが、この『ディナーラッシュ』のラストには、ポールニューマンが主演した往年の名作『スティング』を見た後のような爽快感があります。
この映画、私はDVDで見たんですが、ぜひとも映画館で見たかったですねぇ。
本国アメリカでどのような評価を受けたのかは定かではありませんが、少なくとも日本ではそれほど騒がれなかった映画だと思うんですよ。
おもしろい映画だとわかっていれば映画館で見たのに・・・。
もったいないことをしました。
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