トランスアメリカ
監督:ダンカン・タッカー
出演:フェリシティ・ハフマン、ケヴィン・ゼガーズ、フィオヌラ・フラナガン、エリザベス・ペーニャ、バート・ヤング
時間:1h43

 この映画、感想をアップする前日に近所のミニシアターで見たんですよ。
 でも、なぜかあまり印象に残ってないんですよねぇ。
 ストーリーとしては、女性の服を着て女性のように振舞いながら自らの性同一性障害に苦しみ性転換を希望する男性主人公(この男性主人公を演じている人はなんと女性です!!)が、自分が男だったころにできた子供と一緒に、その子供の継父や自分の両親などを訪ね歩きながら、お互いに信頼関係を築いていくというロードムービーなんですけど、その内容の濃さとは裏腹に、なんだか、全体的な色合いが薄いんですよね。
 もちろん、登場するキャラクターの設定もかなり濃いです。主人公の男性の子供も、親が親なら子も子という感じで男娼として働いているそっち系の組合の方です。そんな二人が一つ来るまでLAまで行くんですけど、その道中の二人のやり取りが、結構、普通な感じで描かれているんです。
 いや、もちろん、普通といっても、そりゃ、キャラクター設定がその通りですから、色々ありますよ。主人公が自分は男であるということを隠し通すために色々やったり、息子が今自分と一緒に旅をしているのは女の格好はしているけれども本物の女ではなく実は男なのだということに気づいたり、金品を奪われて一文無しになったとき、息子が男娼として男を引っ掛けてちょっとした金を稼いだりなどなど、表面的な出来事としては色々あるんです。でも、何が普通かって言ったら、この二人の内面的なものの描き方というのがごく普通なんですよ。
 多分、この映画の監督はトランスジェンダーを希望する人たちというのを、何か特殊な人として扱うのではなく、ごく普通の人として扱いたいんだと思うんですよね。それで、敢えて、主人公と息子を「性」という要素以外の部分ではごく普通に描いているんだと思います。
 性同一性障害とかトランスジェンダーとかって、実際にその言葉を聞いてしまうとなんとなく身構えてしまいますけど、現実にそういう問題で苦しんでいる人たちっていうのは、多分、この映画が描いているように、「性」という要素以外はごく普通の人なんだと思うんですよね。
 だから、それを思うと、この映画の人物描写のやり方っていうのは、本来そうあるべきやり方というか、現実にすごく即した仕方でのやり方であるということがいえるように思います。
 ちなみに、余談ですけど、この映画の中で主人公の息子が、映画『ロード・オブ・ザ・リング』について、独自の解釈を披露する場面があります。この解釈は聞いていて結構おもしろかったですね。『ロード・オブ・ザ・リング』を「ゲイの映画」として捉えようとする解釈なんですけど、やっぱり見る人の視点が違えば同じものでもぜんぜん違うものに映るんだなぁと思って妙に納得しました。

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