やわらかい生活
監督:廣木隆一
出演:寺島しのぶ、豊川悦司、松岡俊介、田口トモロヲ、妻夫木聡
時間:2h06

 主役の寺島しのぶがゆったりと銭湯の湯船につかり、その横にはピンク色で「それとな〜く幸せ」の文字。
 このポスターの雰囲気から、『かもめ食堂』系のほのぼのムービーを想像して、本作を観たんですけど、この映画、「それとな〜く幸せ」な映画じゃないと思います。
 たぶん、この映画が描いているような生活の先には、あまりハッピーなことは無いような気がするんですよ。
 むしろ、どっちかっていうと、内容的には「やわらかく崩壊していく生活」という感じがします。
 公式ホームページには主人公の「優子」というキャラクターが「一生懸命すぎて、ついがんばりすぎてしまう」、「35歳、男なし、金なし、仕事なし、だけど、孤独を受け入れて自然体で生きている」という感じで紹介されています。
 でも、私(男性)が映画を見る限り、この「優子」というキャラクターからはそういうイメージを受けませんでした。
 むしろ、私が見た感じでは、「他人との関係の中で、不都合が生じた場合、女としての"自然体"な部分が無意識のうちに、シールドとして機能してしまう女」という印象を持ちました。
 具体的に言うと、コンビニの弁当を買ってきて部屋で食べたあと、そのままテーブルの上に弁当の容器を放置しているところへ突如男がやってきたときに、その弁当の容器を片付けるのではなく、「あっ、私ってそういうタイプなんだよね…」で済ませる、もしくは、済ませようとする。私の目から見て、この「優子」というキャラクターはそんなタイプに見えました。
 「鬱、っていつのは確かにあるのかもしれないけど、それを差し引いたとしても、なんか、だらしなくねぇか?」
 「この状況は"やわらかい幸せ"か?」
 「女性の目で見れば共感するのか?」
 この映画を見ている間中、そういったことがずっと頭の中にクエスチョンマークとして引っかかっていまた。
 この映画は近所のミニシアターで見たんですけど、全90席の内の6割ほどが埋まった館内で、男性は、私(20代後半)のほかに50代ぐらいの人がひとりいるだけで、残りはほとんど全てが三十代前半から四十代前半の女性でした。
 つまり、この映画の主人公の年齢設定と、ほぼ同年代の女性達が見ていたということなんですが、彼女達はこの「優子」のあり方をどのように捉えていたのでしょうか?
 あの「終点」を感じさせる(あくまでも、私の目から見ての話ですが…)、キツめのラストシーンを彼女達はどのように感じたのでしょうか?そして、この映画を額面どおり「やわらかい生活」としてみることができているのでしょうか?
 男の目線では絶対に理解できない映画なのかもしれません。

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