酔いどれ詩人になるまえに
監督:ベント・ハーメル
出演:マット・ディロン、リリ・テイラー、マリサ・トメイ、フィッシャー・スティーヴンス、ディディエ・フラマン
時間:1h34
近所のミニシアターで見てきました。
チャールズ・ブコウスキー原作の『勝手に生きろ!』を映画化した作品です。
ものすごくいい映画でしたし、ミニシアターの近所のある書店では、「映画化作品公開!!」という帯がかけられた原作本が平積みで売られていたので、それなりにコマーシャル効果はあったと思うんですが、私が観に行った上映回は客の人数が私も含めて二人でした。
黒縁のおしゃれ系のメガネをかけた女前のシュッとした女性だったので、そんな人と二人きりで映画館にいられたことはそれなりにうれしかったんですが、やっぱり、映画館に客が少ないっていうのはなんとも寂しいです。
さて、映画の内容についてですが、要するに、「ダメ男」の生き様を坦々と描いている作品です。
仕事をしても続かない、金が入れば競馬で使い果たす、朝から晩まで酒びたり、酒場で出会ったアブナイ女と一日4回のセックス、自称詩人といっているけれども文章での収入は0、それでもただひたすら何かを書き続けて出版社に送り続ける、明日も今日も無い自堕落な生活。
ただひたすらダメな男の生き様です。
でも、あれですよね。
ダメに生きるって、自堕落でどうしようもない暮らしを続けた結果みたいに思われていますけど、本当に自堕落に生きようと思ったらそれはそれでかなりの才能が必要ですよね。
ホームレスにはならず、有名にもならず、サラリーマンにもならず、日雇いでもなく、一緒に暮らしてはいるけれどもヒモにもならず、それでもなんとなく日のあたる場所を「あぁ〜あ」とか言いながらタバコをふかして生きていく。
これって、無理でしょ。
何をどうしたって、「人は何かになってしまう」じゃないですか。
何ものにもならないまま生きていく
これって、ものすごいことだと思うんですよね。
「仕事をする」とか、「社会に適応していく」とか、そういったことに対する才能は無いのかもしれないですけど、本作の主人公であるヘンリー・チナスキーは「生きる」ということに対してものすごく才能のある人だと思います。
このヘンリー・チナスキーって、チャールズ・ブコウスキーと同一人物と考えて間違いないと思うんですが、チャールズ・ブコウスキーの生き様って、一見ありがちなダメ男のようで、これまで描かれてきたダメ男の何ものにも当てはまらない不思議な「ダメ男像」だと思います。
とことんダメなのに、なぜか憧れてしまう。
憧れているのに、絶対にそうはなれない。
映画を見た後、少し、さびしくなりました。