夜顔
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:ミシェル・ピコリ、ビュル・オジエ
時間:1h10
近所のミニシアターで観てきました。
齢99歳、現役の長編映画監督としては最高齢となるマノエル・ド・オリヴェイラの最新作だそうです。
本作は、1967年にカトリーヌ・ドヌーブ主演、ルイス・ブニュエル監督で公開された『昼顔』の続編に当たる作品です。
私は『昼顔』を観ずにこの『夜顔』を観たんですが、正直、ちょっとわかりづらかったですね。
あらかじめミニシアターの宣伝で本作が『昼顔』の続編だということはわかっていたんですが、ついつい、予習をしないまま観に行ってしまったんですよね。
言い訳になりますけど、一応、近所のGEOで一通り探したんですよ。
「『昼顔』置いてないかなぁ…」と思って……
で、置いてなかったんですよ。
その店に。『昼顔』が…
だから、予習せずに観に行ったんです。
でも、後々、後悔しましたね。
観ておけばよかったです、『昼顔』……
これ、やっぱり、『昼顔』を観るか観ないかで『夜顔』に関する理解の深さは全然かわってくると思うんですよね。
確かに、劇中の会話で『夜顔』に登場する人物の大体の素性はわかるんです。
ですが、それでもなおかつ、『夜顔』のなかでなされる説明だけでは人物像の立体的な肉付けが不十分ですね。
いくら説明が上手くても、一本の映画の登場人物のたたずまいをちょっとした短い言葉だけで十分にフォローするっていうのは無理です。
やっぱり、予習の手を抜くとダメですね。楽しさが半減してしまいます。観とけばよかったなぁ…、『昼顔』……
あっ、でも、劇中後半のメインとなるミシェル・ピコリとビュル・オジエの一対一での食事のシーンはものすごくエロスな雰囲気が漂っていてよかったですね。
ミシェル・ピコリとビュル・オジエ、この二人、83才と69才ですよ。
完全におじいちゃんおばあちゃんなんですけど、この二人が、ろうそくの光のなか、音楽の全く無い状態で、食器のカチャカチャする音だけで食事をしているシーンがなんとも言えない緊張感でエロティックな雰囲気が充満しているんです。
これ、邦画で同じようなシーンをやっても絶対ダメですよね。
日本人の俳優と女優で似たようなシーンを作っても、エロティックどころか「おばあちゃんのぽたぽた焼き」的なほのぼのさ加減が漂いますよね。
こういうところが、フランス映画ですよ。
他の国の映画では決して味わえない雰囲気ですね。
ところで、話はちょっと変わりますが、以前、何かの媒体で『攻殻機動隊』の押井守が「映画は国境を越えない」と発言していました。
そんなことが頭の片隅にあったので、本作『夜顔』をみながらふと思ったんですが、映画監督の感性って時代を超えない感じがしますね。
この感想の冒頭にも書きましたが、本作の監督であるマノエル・ド・オリヴェイラって2008年4月現在で99歳の老監督なんですね。
つまり、ずっと昔から映画を撮り続けてきた監督ということなんですが、2008年公開である本作『夜顔』をみても、構図やセットの雰囲気などが、一昔前の映画のままなんですよ。
特に、主人公を演じるミシェル・ピコリが、ビュル・オジエ演ずるヒロイン(?)が住むホテルのエレベーターの前に立っているシーンは、時代が50年ほどタイムスリップしたような構図です。
本作を見ながら、私が勝手に思いついた「映画監督の感性は時代を超えない」という命題がどの程度まで適応可能なものなのかわかりませんが、少なくとも、このマノエル・ド・オリヴェイラという監督には当てはまるのではないかという気がしました。