ゆれる
監督:西川美和
出演:オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、新井浩文、真木よう子
時間:1h59

 以前、筑紫哲也が出ている夜のニュース番組でオスギがこの映画のことを絶賛してましたね。
 それが原因かどうかは定かではないんですが、私がいつものように近所のミニシアターにこの映画を見にいったときには、そのミニシアターの前にズラーっと行列ができてましたね。
 全90席がギッシリ。
 大盛況の中で見てきました。
 映画が始まる前、集まったお客さん達の話し声をこっそり聞き耳を立てて聞いていたんですけど、みんなどこかでこの映画の前評判のよさみたいなものを聞きつけて観に来たみたいなんですよ。それほど前評判が高い映画なわけですけど、実際に見てみて、その前評判の高さに納得しました。
 「アタシの中では、今のところ、この映画が今年の邦画No.1です」
 オスギのその言葉に嘘偽りはありませんでした。確かにこの映画、私が見た中でも、今年の邦画No.1です。
 危ないつり橋で繋がれた向こう側とこちら側、つり橋を渡って成功を手にした勝ち組みと橋を渡れなかった負け組み、そんな現代の根拠のない二分法を象徴するような風景と人間関係の中で事件が起こって物語が展開していくわけですけど、イヤーっ、この映画、一筋縄ではいきませんなぁ。
 もう、なんか、人間のドロドロさ加減がガッツリでてますなぁ。なんかちょっと、ディープなスペイン映画とかを思わせるぐらい「てんこもり」のドロドロさ加減です。
 でもねぇ、そのドロドロさ加減が実は真実だったりするんですよねぇ。綺麗ごとだけではいかないわけですし、お金とかさぁ、立場とかさぁ、地位とか名誉とか、自尊心とか、恐れとか、欲とか、恥とか、残酷さとか、愛とか、優しさとか、仕事とかもねぇ…、色々ねぇ…、絡んじゃいますよねぇ。
 映画に描き出されている物理的な人間関係はかなりシンプルなんですけど、精神的にものすごく色々なものが絡み合っていて、精神面で恐ろしく多面的な重層構造をもった映画です。
 まぁ、一言でいうと、「タフな映画」です。
 なんか、久しぶりにこんなタフな映画見ましたね。DVDがでたら買おうと思います。
 ただ、唯一ちょっと「?」と思ったのが、この映画、女性の描き方が弱いような気がします。
 この映画のなかで、一人、死んじゃう女の人がいるんですけど、その人がこの映画の中で置かれているような生活状況になったら、普通の女の人って、もっと怖かったりパワフルだったりするんじゃないですかねぇ。

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