戦場の護衛兵たち〜猛将伝編〜


俺達は通称「三国戦隊」と呼ばれる護衛兵軍団だ。
この名前はご主人が勝手に付けたものなんだけど、俺達はいまひとつな感じである。
なんかダサいし、ちょっとな〜〜・・正義の味方みたいだけど・・・。
ま、いいけどな。ご主人の趣味にいちいちケチはつけられん。
あと、今回、俺達個別に本当は本名があるのに勝手に好きな名前で呼ばれてる。
俺なんか兀突骨とかだぜ。となりのヤツは太史享だってさ。マイナーだからって
誰かさんの息子を勝手に護衛兵にしたてちゃっていいのかよ。
その隣のヤツなんか男なのにサマンサだぜ。俺、呼びたくないよ・・・髭ヅラの男にさ。
後ろのヤツなんかミジンコだぜ。もう人の名前じゃねえよな・・・・。気の毒に。

しかし今回は俺達にとってはかなり厳しい戦いなんだ。
なにしろ敗走率がハンパじゃない。
だってさ〜〜敵、強いんだもんよ〜(泣)
なんか今回ってさ、以前にもまして、俺達狙われてない?
気のせいかなあ・・・。
俺達が一人一人戦線離脱していくとご主人ががっかりするんだ・・・。
マイナスポイントがな。
この前なんか、8人全員が順番に抜けたことがあって、「申し訳有りません」「ご武運を」
とかみんなで交代で言っちゃったりしてさ。あんときゃさすがにご主人さまにあとで
「うるさい!」って叱られたっけ・・・。
でもさ、一応護衛兵の規約のなかにあるんだよね。
え?そんな規約知らない?
護衛兵の規約、教えてやろうか?
細かいことはヌキでな。
護衛心得に一応かいてあるんだ。
ひと〜つ:護衛兵は無言でご主人さまについていくこと。
ひと〜つ:護衛兵はご主人さまの乱舞で一緒に吹っ飛ばされても文句を言わない。
ひと〜つ:護衛兵はご主人さまが出過ぎのときは注意してあげること。
ひと〜つ:護衛兵は敗走するとき「申し訳有りません、ご武運を・・」と必ず声をかけること。
ただし急な水没で溺れ死んだ時はこの限りではない。
ひと〜つ:護衛兵はご主人を攻撃している敵にむかって攻撃すること。
ひと〜つ:護衛兵はご主人を見失いそうになったら近道をしてもよい。
ひと〜つ:護衛兵は体力が減ってきたらご主人が肉まんを食べるのを待つこと。
・・・などなど、全108つの項目からなっているんだ。
な?すごいだろう?なんてったって8人全員の足並みの揃え方まで書いてあるんだぜ?



ご主人は一生懸命俺達護衛兵用のアイテムを揃えてくれてるんだけどな・・・効果があるのか
ないのか。
元が弱いからさ・・・・。
あまりの敗走ぶりにご主人が俺達にくれた巻物がある。
「護衛全書というものだ。これでおまえたちは戦場で一度だけ自力で回復できる。
大事な場面で使えよ」
ええっ?そんな便利〜なもの、あるんだ!ラッキー!
さすがご主人さま!統一とかいう大会に出場したらしいんだよな。
・・・・と喜んでいたのもつかの間。
俺達のうちの一人、ドジの夏侯覇(通称)が全員まだ平気なのに、戦が始まったばっかりの
戦場で全書を使っちまったんだ!
アホッ!ボケッ!カスッ!
・・・はあはあ・・・・
ま、今日はこんくらいにしといてやるさ。
俺達は全員で一個しかアイテムもてないんだからよー、そういう暴走、やめてくれよな。

ま、いいか。
そういえばこの前の戦でついに俺達の最強の武器、「護衛古錠刀」を手に入れたんだ!!
なんと、ご主人さまとお揃い!!うれしーーーー!!
ご主人さまのは風月、って名もついているけど、お揃いだ!やったーーー!!
ご主人さまも大喜びしてくれてさ!
「これでおまえたちも一人前だ!」な〜んていってくれちゃってv


あ、ご主人が呼んでる。
また戦か〜・・・・今度は最後までいられるかなあ・・・。
この前は「鉄壁」でも敗走したもんな。
って・・・・
・・・・・なぬーー!
さ・・「最強」の戦場に!??がーーーん!!
しかもご主人!今度は「援護」っすか!??
マジ??俺達剣兵よ!?
弓兵とか弩兵とかに向かっていけっての!??
それって「死んで来い」モードじゃないっすかー!!

・・・・・とほほ・・・は〜〜〜い・・・行きますよ、行けばいいんでしょ。
とりあえず「援護」ででま〜〜す。
命があったらまた会いましょう〜〜〜。



(終)