港、というところは、往々にして風が強い。

「寒くないですか、先輩」

「…………やはり、あれは罠でしたか」

 綺麗に無視された。

 『あれ』…か。引っ掛かる方が馬鹿なレヴェルの罠。

 アルクがメレム・ゼルレッチを引き連れて俺が一人になるなんて罠以外の何に見えるというのだろう。

 ……好機、そう見えたから仕掛けてきたのだろうけど……

「組織ってのは上から腐るよね、ホント。

 協会はあんな連中が上で威張り散らして新入りに『これも試練じゃ』とかいうのかな?」

「その点についてのみ同意します。

 聖遺物管理を任されていた枢機卿も命惜しさに全てを差し出したようですし」

 ニッ、と俺の口の端が釣りあがる。

 ……伝統が滅びる時というのはこういうものかと、あの時の思いが蘇る。

 聖遺物管理庫の12重の鍵束を媚びる様に笑みすら浮かべて渡してきた枢機卿。

 円卓の騎士達の武器の封印された場所を得意そうに教えてきた大司教。

 自分の保身と引き換えに外部との接触のノウハウを書類にまとめて提出してきた特殊組織の長。

「全く以って、そんな連中のお陰で異様に強い魔術師部隊も出来たし、

 使われる事もなく眠っていた道具達も使って貰える様になった。めでたしめでたし、だね」

 ここでスタッフロール!とはいかないのが、いけないのが現実やってる辛さで楽しさだ。

「……で、ここに貴方がいるのは何故ですか。

 てっきりあの悪趣味な名前の船上でブルーとよろしくやってると思ったら」

 非道い誤解だ。俺はアルクだけだと何度言ったら信じてもらえるのだろう。

 やはり最初がよくなかったのだろうか。

 真祖と死徒、両姫君の皇婿。宣伝効果は抜群だった。

 白騎士も黒騎士も、霊長には無敵の犬も倒れ、死徒の中での最大勢力が倒れた後は正に革命。

 白翼公が倒れ、まとめ役がいなくなったら各個撃破し放題。

 ……言うは易いが……いけない。苦労を思い起こすとつい感傷じみてしまう。

「いや、魔術師だけじゃ不安だろうしね。

 俺に恨みがあって、俺の情報を持ってて、俺と戦おう、

 なんて専門家がいたらやっぱり連中がほっとかないかな、って。

 思った通り、連絡が行ったみたいだね先輩?」

「……今日は真面目な様だから聞きます。何故、死徒に?」

 今更だね。

 全ては……

「全てはアルクェイド=ブリュンスタッドの為に…ってのはキザすぎるかな?」

 ギリ、とシエルが奥歯を噛み締めた音を、吸血鬼になって発達した俺の聴覚が捉えたのと、

 視覚が黒鍵を捉えたのはほぼ同時だった。
 
 


『空上月華(後編)』(皇婿志貴第五話)




 
 シエル。

 教会・埋葬機関の元第七位にしてロアの遺産たる魔術知識を持つ。

 不死の体は無くしたものの、それからすでに八年が経過している以上防御面での隙はほぼ消えたといっていい。

 教会を辞めたとはいえ、その時に大量に対魔装備をガメていったというから本気だろう。

 要するに―――強敵。

 飛来した黒鍵は容易く皇婿の刃に消える。

 彼の愛用する武器はすでに七ツ夜ではない。

 前から欲しかったから、と死徒になってからアルクェイドにねだったのは小烏丸。

 正倉院からパクって来て貰った逸品である。

「面白い形で面白い逸話の刀だよね。うん、きっと志貴に似合うよ!」

 そんな嬉しい言葉とともに、受けとった。

 シエルはいつもの戦闘服だ。

 志貴は、つい思い起こす。死徒となってから何度も彼女に追いかけられた。

 殺そうと思えば何度も殺すことができた。

 実際、最初の数年でシエルと志貴の運動能力は逆転したし、メレムやゼルレッチは勿論、

 アルクェイドに至っては死ぬ体のシエルなど敵ではなかった。

 それを、からかうだけで結局いつも逃がしてきたのは、

 彼の愛するアルクェイドがいつも最後に止めたから。

 そして…やはり失いたくなかったのだろうか。あの日常。

 アルクェイドが至上であってもそれに肉薄するほど貴重だった、

 あの三咲町での日常に、シエルはいた。

 それを失いたくなかったのか?
 
 

「今日こそは、はっきりさせなきゃな。」
 
 

 シエルは志貴が黒鍵に対処する間に跳躍し、港に置いてあるクルーザーに降り立った。

 それは、協会の魔術師が彼女の為に用意したものだった。

 ドム、と重厚な炸裂音が響く。

 シエルの祝福儀礼を施した教会兵器のバズーカだった。

 再び、その死線を見極め、志貴がなぞろうとすると
 
 

 あたり一面に白煙が舞った。
 
 

「吸血鬼(おれ)相手に、煙幕……?」

 志貴には理解しがたかった。吸血鬼の身体能力は当然人間の比ではない。

 シエルが自らの姿を隠しきれる訳もなく、志貴を認識できるかも怪しいものだ。

「となると違うな……簡易結界……か?」

 その仮定を実証するかのごとく、軽い虚脱感が志貴を襲う。

 そして白煙の中から数十本の黒鍵が迫った。
 
 

 志貴の瞳が紅さを濃くすると、小烏丸が周囲に鈍く闇を帯びた。

 素早く宙を薙ぐと、まるで扇子で扇いで紙吹雪が飛ばされる様に綺麗に黒鍵が散った。

「……なめられたものだね」

「こちらの台詞です」

 再び炸裂音。今度は、質が違った。

「第七聖典か…」

 志貴の左腕を軽く掠っただけだが、それでも新月の宵の入り。

 十分にダメージとしてカウントされるだけの、それは傷。ザッ、と横に跳び、志貴は間合いをとった。
 
 

 三段構えの戦法で、新種の簡易結界があり、

 第七聖典が予想外にも戻っていたとはいえ志貴の大誤算だ。

 本気で戦えない、それは代償。

 煙幕型の結界を張り巡らせ、あらかじめクルーザーに隠しておいた武器を有効に使い、

 計算通りに戦いを進めた。緒戦はシエルの優勢である。しかし、それでも負わせた傷は擦過傷。

 新月というその状況と、第七聖典という武器がなければ瞬時に回復してしまう所だが、

 今夜中に決着をつけるならシエルにとってどれほど利点として働いてくれるか。

 しかし、志貴と違い一度でも攻撃を受けたらシエルはアウトである以上、

 形勢はまだ志貴に有利だった。
 
 

 志貴が刀を構えなおす。刀が帯びる闇が濃くなったのは本気になったのか。

 そして、再び刀で宙を薙いだ。ただし、今回は複数だ。

 小烏丸から衝撃波が全方向に打ち出される。

『力押し』

 世にそう言われる戦法である。

 コンテナ、アスファルト、資材、ボートにヨット。周囲にある遮蔽物ごと、シエルはなぎ倒された。

「くっ……」

 力だけは強い……似たもの夫婦……と考えてシエルは酷く不愉快になった。

 そう考えた自分の思考法と、その事実、両方に。
 
 

 とどめ、とばかりに一際強力な衝撃波を放つと同時に志貴は地を蹴った。

 間合いを詰め、シエルの足を狙う。
 
 

 その時、爆発が起こった。

「地雷の特徴を知っていますか、プリンス・コンソート。地雷は爆発によって人を殺すのではなく、

 爆発と同時に撒き散らす破片によって致死率を高めるのですよ。

 この手榴弾も同じつくりです。…破片は主・イエスが十字架に打ち付けられた釘の破片ですがね。

 教会の最終兵器の一つですよ、光栄に思って下さいね?

 新月の夜、私は普通に魔術による回復ができますが貴方は復元呪詛が一番弱まる日。

 私には聖なる釘でも貴方には煉獄の責め苦でしょう。

 そして、貴方の効果の弱い復元呪詛が貴方の体を再構成するまで、…私が待つと思いますか?」

 志貴に、横たわった皇婿に第七聖典を突きつけてシエルは言った。

 志貴の口元がわずかに動いた。

「…た……るく……お…る」

「懺悔ですか、聞いてあげますよ、『遠野君』」

 しかし、当然のようにその言葉は懺悔などではなかった。

「まいったなぁ…アルクがせっかくティファニーのデザイナーに作らせて贈ってくれたスーツが台無しじゃないか……

 怒られるだろうなぁ…」
 
 

 闘争の空気が、一遍に萎んだ。
 
 

 文字通り、シエルの目が丸くなる。

 は…?今ティファニーといいましたか?ティファニーは女性ブランドですよ、

 スリーピースのスーツなんか作る訳が無いじゃないですか。なんですか、そのブランドへの無知な挑戦は。

「ティファニーで朝食を、って知ってる?先輩。」

「……あ……あの馬鹿猫がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 ふふっ、と志貴は笑った。

 が、目が笑っていなかった。

「誰にも…」

 ゆらり、と志貴が立ち上がる。

「そんな言葉は言わせない…」

 周囲が闇に包まれる。

「アルクェイドを罵倒していいのは…」

 刀が本来月があるべき位置に翳され

「この世で俺一人、だ」
 
 

 ……満月が煌々と港を照らし出した。
 
 

「な!?」

「固有結界、『空上月華』…俺が在る限りそこはいつも満月。

 満月の夜の真祖に死線はない、つまり俺がそばにいればアルクは絶対に死なない。

 ……そう、全ては、アルクェイド=ブリュンスタッドの為に」

 志貴の体の傷があっさりとふさがっていく。

 流石に釘片は刺さったままだがさして行動に支障は無さそうだった。

「さて…第二ラウンドといこうか、先輩?」

 余裕の笑みが、綺麗すぎて憎かった。
 
 

 思い切りコンテナに叩きつけられ、無様にシエルは尻餅をつかされた。

 キャパシティが違う。ステータスが違う。アクセラレーションが違う…どう言ってもいいが要するに、

 敵いっこなかった。

「チェック(王手)」

 小烏丸がシエルの額に突きつけられる。

 志貴はようやく落ち着きを取り戻したのか、当初の目的を果たす事にした。つまり

「先輩…ずっと聞きたいことがあった…何故、俺をそうまで追うの?」

 壮大な罠を張りながら、志貴は心の奥底では普通なら来ないと思っていた。

 教会はすでに降伏した以上シエルに彼を追う義務はない。

 今回、シエルが来なければ志貴としては内々に和解を進めるつもりだった。

 しかし、彼女は来た。志貴が死徒になったから、それだけではないだろう。

「なぜ戦うのか、それを貴方が聞きますか、遠野くん」

 口から滴る血を拭おうともせず、シエルは眼前の男を睨み付けた。

「あなたと同じですよ。あなたが死徒になった理由……それが、私があなたを倒す理由です」

 何を馬鹿なことを、と今や世界の王となった男は目を細めた。

 さては先程の衝撃で頭部でも打ったのだろうか。

 俺が死徒になったのは、世界を征服したのは、この世でただ一人愛する女性を守る為だ。

 そう、全ては彼女の為に。

 全てはアルクェイド=ブリュンスタッドの為に。

 なのに、シエルは彼女の為に俺と戦うと言う。――――それは、矛盾ではないのか。

「ああ……」

 男の頭上に輝く銀の円盤を振り仰ぎ、シエルは眩しげに目を細めた。

「憶えていますか、遠野くん。ロアが滅んだあの夜も、こんな風に月が綺麗な夜でした」

 その声に、志貴もまた頭上を仰いだ。そう言えば、しみじみと月を見るのなど一体何年ぶりだろう。

「あの夜、あなたを家まで送ったそのあとで、私はアルクェイドに会いました」

 皇婿が眉を顰めた。それは彼女の夫となった彼にしても初めて聞く話だった。

 あの夜、彼女を失っ  たのかもしれぬと不安を抱えて床についた夜。

 その夜に二人が会っていただなんて。

「あなたの血を吸うのかと問いただした私に、彼女は言いました『好きだから、吸わない』と。

 ……今のあなたなら解るはずです。それが、どんな意味を持っているのか」

 志貴が唇を歪めた。吸血衝動は好悪の感情と密接な繋がりを持っている。

 有り体に言えば、好意を持っている相手の血をこそ吸いたいと願うのだ。

 それは死徒も真祖も変わらぬ不文律だった。

「――――なのに、あなたはアルトルージュの死徒になった」

 恐れを知らぬと称された征服者の背筋に冷たいものが走った。

「アルクェイドではなく、アルトルージュに……

 彼女にとっては仇敵に当たる死徒に血を吸わせたんです」

 シエルの声は優しく、まるで物分りが悪い子供に教え諭すような響きすら帯びている。

 けれど、それゆえにこそその弾劾の言葉は彼の胸に消えぬ楔を打ち込んでいった。

「あなたは、彼女の気持ちを踏みにじった。

 あなたへの想いゆえに血を吸わぬと決めたアルクェイドの心を踏みにじったんです。

 ……それが、私があなたを許せない理由です」

 黒鍵を構え、静かに目の前の男を見つめた。恐らくアルクェイドは彼を責めなかったのだろう。

 いつもどおりに微笑んで彼に接したのだろう。

 あの天使のような、裏表のない純真な彼女にそれはどれほどの苦痛だったのか。

 彼女の笑顔を思い出す。志貴が彼女を選んだと知り、人知れず日本を離れようとした自分に微笑みかけてくれたあの笑顔を。

 ここにいなよと言ってくれたあの姿を。喧嘩トモダチがいないとつまらないよとはにかんで告げたあの声を。

 闇の中に生きるもの全てが恐れた殺戮者である私を、彼女はトモダチだと言ってくれたのだ。

「だからこそ、私はあなたを追います。あなたと戦います。あなたに罪の報いを受けさせる為に。

 そう、あなたと同じだ。全ては――――」

 全ては彼女の為に。
 
 

――――全てはアルクェイド=ブリュンスタッドの為に!
 
 

 ……そんな馬鹿な

 ……そんな馬鹿な

 小烏丸と黒鍵が火花を散らす音すら遠い。

 志貴=ブリュンスタッドは苦悩に押し潰されんばかりだった。

 ……あれがあれが、そんなにアルクェイドを傷つけたなんて
 
 ……俺が、この俺がアルクェイドを傷つけてしまったなんて

 信じられない。信じたくない。

 であるというのに、何故こうもこのカラダはシエルの言葉を皮肉なまでに肯定するか。

 では何の為に世界を征服した?

 では何の為に死徒を狩った?

 ……では何の為に、大博打まで打って、永遠を手にした?
 
 

「う…あぁ…」

 こんな固有結界も
 
 

――――空にあった月が消えた。
 
 

 こんなカラダも
 
 

――――志貴の手から愛刀がこぼれ落ちた。
 
 

 何もイラナイ
 
 

――――だって意味がないじゃないか、ボクはカノジョをキズツケタ――側にいる資格なんて、ナイ―――
 
 

――――自嘲の笑みと零れ落ちる涙が、聖典の一撃を待っていた

「ごめん、アルクェイド……」
 
 

 第七聖典が志貴に迫った。今度こそ、月もなく、更には聖鉄片も志貴の体内にある。

 直撃すれば、魂も残らず浄化される一撃の

 意外にもその聖典の力のみが『破壊』され、光が四散した。

「はい、そこまで」

 第七聖典が志貴に届く直前の、わずか数十センチの隙間にドン!と大きなトランクが差し込まれた。

 現れたのは―――魔法使い。

「ブルー!?」

 シエルの声すら無視して、青子は志貴に詰め寄った。

げし。

「……へ?」

 蹴り飛ばされた。史上最大の版図を誇る大帝国の主が、ジーンズ姿の魔法使いに、

 思い切り蹴り飛ばされると言うシュールな図が、そこに繰り広げられた。

「……相変わらず小さいわね、志貴。うずくまってるから思わず蹴り飛ばしちゃったじゃない」

「……あ……その……」

「素敵な男の子にはまだ遠そうね…私の見込み違いだったかしら?」

 明らかに怒っている恩人を前に、志貴はただただ小さくなるしかなかった。

「すみません……先生……」

「謝る相手は私じゃないでしょ――――せいぜい土下座でもなんでもしてお姫様に許して貰うことね。
 
 ……あんないい娘、そうそういないわよ。あなたが死のうとした事は黙っておいてあげるから、

 それ以外のことはきっぱりと男らしく謝りなさい―――きっと許してくれるから」

「先生……」

 泣けてきた。

 あぁ、なんてことだ。

 俺はあの時から全然成長していない……あんなに多くの恩を蒙っておいて、

 今尚先生に迷惑をかけどおしだ……

「それじゃ、お別れね。

 志貴、今回の落とし穴のそばには私がいたけど次もいるとは限らないんだから、

 シャンとするのよ?

 ……次の『裏のない』招待に期待してるわ」

「は……はい、はい!必ず!

 ……ありがとう、先生―――貴女に来てもらえてよかった―――」

 全く、なんて手間のかかる、可愛い「生徒」―――――苦笑しながら、

 ざあ、と一段と強い海風とともに、蒼崎青子は消え去った。

「先生……」

 泣き顔のまま微笑むと、皇婿は師の消えた方へ一礼した。くるり、と向き直る。

「先輩?」

「……何ですか」

「アルクに許してもらえたらまた来ますね

 ―――お土産はインドのスパイス博物館からの押収物で如何です?」

 昔喧嘩したとき、カレーパンを片手に謝罪しに来た時のような表情が志貴の顔にあった。

 シエルが苦笑とともに溜息をつくと、片目を瞑って彼も消えた。

 最愛の女性に会いに行くのだろう。

 シエルも毒気を抜かれ、地面に座り込んだ。

「ふうっ―――――」

 追う気もせず、火照った彼女の体に優しく海風が吹いた――――
 
 
 
 
 
 
 


注釈

 小烏丸(こがらすまる)
 八咫鴉(やたがらす)を介して桓武天皇に与えられた刀で、平家の家宝。
 壇ノ浦で行方不明になったが現在も皇室御物にあるのはこれ如何に。
 刃が峰にもあり、刺突の際斬りやすく抜きやすい。乱戦向き。全長60cm前後で、短め。
 余談だが、「小狐丸」という霊剣も存在したり。…晶ちゃん専用ではない。

 本気
 シエルから話を聞き、可能であれば和解するのが今回の目的であるので
 志貴は全力を出していない。

 空上月華
 志貴の固有結界。
 いつでも自分の一定周囲を満月にできる、つまりアルクに死線を出さない為だけの固有結界。

 あんないい娘
 それだけ傷つけられても志貴の行為が自分の為だと言う事を理解し、
 微笑んでくれるアルクはいい娘。ホントに。

 それ以外のこと
 今回の件は全て志気の独断。
 ひたすらに追いかけてくるシエル、それにとどめを刺させないアルク。葛藤する自分。
 それに決着をつけようと志貴が「協会強硬派の一網打尽」を計画してアルクを遠ざけ、
 実際に強硬派を処分するついでにシエルが来た場合これも倒し、全てを終わらせるつもりだった。
 メレムはこれに加担し、ゼルレッチは無関心。アルクは(シエルが来る可能性に)気付かず。