「ハイ」
アルクがくれた袋は、駄菓子屋さんでくれるみたいな紙の袋だった。
口のところを、無造作にクルクルとひねってあった。
俺は、ひねった口をゆるめて、中を覗いた。
中に、アルクからのプレゼントがちらりと見えた。
「………どうして?」
アルクは、どうして俺が、ちゃんと中を見ないのか、不思議そうだった。
気に入らなかったのかな? と、アルクは心配そうだった。
月姫カクテル夜話 幕間集
『吐息の膨らみ』
Written by “Lost-Way"
俺は、ひねった口を、また、元のように戻した。
心配しなくても、大丈夫。
俺が、ガバッと袋を開けなかったのには、理由がある。
中に詰め込まれたアルクの吐息を、逃がしたくなかったんだ。
この袋の中には、プレゼントを入れた時の、アルクの吐息が詰まっている。
それを、俺は逃がしたくなかった。
プレゼントと同じくらい、アルクの吐息が、俺にとっては、大切なんだ。
風船が、どうして夢があるか、知ってる?
風船は、人の息で膨らませるからなんだ。
人の息には、その人の『想い』が込められているんだ。
だから、風船には、膨らませた人の思いが込められているんだ。
だから、人は、風船を見ると、夢を感じるんだ。
風船には、何も入っていない。
でも、そこには、膨らませた人の想いが膨らませた人の息と一緒に、たっぷりと詰まっているんだ。
ある時。
アルクがラッピングした包装紙が、クシャクシャになっていた。
悪戦苦闘した様子が、感じられて、嬉しかった。
半泣きになっているアルクの顔が思い浮かぶ。
多分、包装紙を3枚くらいダメにして、ラストの1枚で何とか成功したんだろう。
お店のかわいいラッピングがされてあるモノも、いい。
ラッピングなんてされていなくても、いい。
アルクが、ちょっと不器用に、自分でラッピングしてくれたモノも、いい。
ラッピングは、クシャクシャでもいい。
何を、ラッピングするのか?
それは、アルクの吐息であり、アルクの想いだ。
どんなに包装紙がクシャクシャになっていても、アルクの吐息が、中に詰まっていれば、いいんだよ。
あの時、もらった袋は、まだ膨らんだままだよ。
end………?
or continue………?
This Story has been sponsored by 『MOON TIME』
& 『KAZ23』
THANKS A LOT!!
後書き………のような駄文。
『プレゼント』を主題に短編を書いてみました。
この手の類のネタは実体験をも含めて、結構あったりします。
アルクェイドじゃなくても、こんな風にプレゼントを受け取ってもらえたら、それだけで殺されちゃうんじゃないでしょうか?
『女殺しの魔眼』で(苦笑)
では。
Lost-Wayでした。。