遠足の帰りのバス





毎年恒例の遠足とはいえ、崑崙山(こんろんざん)の登山コースは相変わらず過酷な行程であった。
ほとんどの生徒は疲れきって帰りのバスは静かなものだ。
そんな中、馬超くんはまだまだ元気だった。

「おい、趙雲、趙雲ってば」
「う〜ん・・・、なんですか馬超殿。エチケット袋なら1年生の孫権くんが使っちゃいましたよ」

隣りのシートの趙雲を揺り起こすと、にやにやしながら前のシートを指差した。

「前のシートの司馬懿殿がどうかしたんですか?」
「なんかさっきからうなされて寝言言ってる」

ヒソヒソ声で言った馬超はやたら嬉しそうだった。

「ほう、それは興味がありますね。何かの時のためにケータイで録音しておきましょう」

趙雲と通路を挟んで逆サイドのシートにいる諸葛亮がヒソヒソ声で参戦してきた。
もうこの人たちホントに魏組が嫌いだなあと思いながらも、興味をそそられて趙雲もこっそりと司馬懿の寝言に耳をすませた。



「う・・・うぅん・・・むにゃ、むにゃ」

(クソッ、何を言っているか聞こえんぞ)

「・・・やめろ諸葛亮っ、く・・・こうなったら」

(夢の中で諸葛亮殿と戦っておられるのか)







「こうなったら・・・・・ブリザラ!」







かわいそうすぎるので録音データ、消去