学園祭 〜魏組〜





三国学園 学園祭。
各クラスは出し物や模擬店を運営し、来校者の人気投票によって順位を競う。
クラスごとにまとまるのはもちろん、学年を超えて一つの出し物をすることもできる。
中にはホームルームのクラスで劇、部活でバンド、縦割りクラスでは模擬店と大忙しな生徒もいる。



「ようお嬢さん、お客さんかい?」
「ひぃ!」

3年魏組のドアの前に立ち、通りかかったモブ女子さんに声をかけたのは黒スーツの典韋だ。
両手を腰の後ろに組んで仁王立ちしているとどう見てもカタギには見えない。

「おお、ビビらせて悪ィ。うちのクラスは入店にドレスコードあんだがあんたは・・・」

典韋は少し離れてモブ女子の上履きから頭の先までを舐めるように見た。
そして典韋はニカ!と歯を見せて笑う。

「おし、オッケーだ!あんたかわいいし、制服は一応フォーマルだしな!さ、入んな入んな」

モブ女子が3年魏組のドアをくぐった時、目の前に広がっていたのは



2年/3年魏組 共同模擬店
『ホストクラブ Cao cao(ツァオツァオ)』



天井から巨大なシャンデリア。
青、紫、白の電飾に照らされ、窓は暗幕で塞がれた妖艶な世界。
とても教室とは思えない内装になっていた。

モブ女子がほうけたようにシャンデリアを見上げていると

「ようこそ、クラブ、ツァオツァオへ」
「じょ、徐晃くん?頭巾とってるし、ボーイさんの格好だから一瞬わからなかったよ」

徐晃はテレくさそうに苦笑した。

「お席にご案内するでござる。・・・ああ、そういえば廊下の典韋殿、怖かったでござろう。申し訳ない」
「ううん、いいのよ。典韋先輩見た目は怖いけど良い人だったし」
「そう言ってもらえると助かるでござる。殿が典韋殿はソレっぽいからおもてにおいておくのが定石と聞かなくて。こちらのソファーへどうぞ」

やはりテレくさそうにもモブ女子を奥のソファーに座らせた。
格好はボーイさんだが徐晃がいつものいい人オーラのままなのでモブ女子はほっと胸をなで下ろした。

ところで、案内されたソファーは革張り。黒光りするテーブル。
どう考えても”教室の机を四つくっつけて上からテーブルクロスかけました”のテーブルとは異なる。

「我がクラス・・・ではなくて、当店は安心のコース料金制でござる。好きなコースを選ばれよ」

徐晃がモブ女子にメニューを差し出した。



専属コースメニュー 

■今は貴女だけのバロン(男爵)、だが夜は紳士などとは呼ばせない。張遼くんコース ・・・500円
■どこに囁いてほしい?隻眼の重低音をおまえに。夏侯惇くんコース ・・・500円
■何か悩みごとか?俺でよかったら聞くぜ。あんまなんもできねえかもしんねえけどよ(笑) 夏侯淵くんコース ・・・500円
■誰が貴様に酒などつぐかバカめが!コ、コラ、泣くなっ!嘘だバカめが! 司馬懿くんコース ・・・500円
■綺麗なお兄さんは好きですか。・・・ご存知でしたか?わたしも、男なのですよ 張コウさん(くん?)コース ・・・500円
■ひざまずけ。くだらぬ男の横で朽ちていくか、私の傍らで咲き誇るか、選ぶが良い。 曹丕くんコース ・・・500円
■綺麗なおねえさまは好きかしら?曹操さまがみてる。 甄姫さんコース ・・・500円
■お金持ちのおじ様は好きか。わし自ら可愛がってやろう。 曹操くんコース ・・・1000円(※未成年にはご提供できません)

フードメニュー

■男なんていらねえ!飯出せ飯!許チョくんのグルメレース(中華フルコース) ・・・5000円
■これくらいしかできず、申し訳ない。張遼くんのオムライス ・・・1000円
■結構イケるだろう。日曜シェフ夏侯惇くんのチャーハン ・・・1000円
■白く四角く美しく。張コウさん(くん?)のヘルシー豆腐サラダ ・・・600円
■クッ、こんなはずでは・・・。これも諸葛亮の罠か!?司馬懿くんのダシ巻き卵だったはずのスクランブルエッグ ・・・600円
■ほかほかほっこり。夏侯淵くんのおにぎり三つ ・・・800円

ドリンクメニュー

■張遼くんの珈琲(魏ブレンド/アメリカン/ラテ/モカ)  ・・・400円
■夏侯惇くんのウーロンハイ ・・・800円(※未成年にはご提供できません)
■夏侯淵くんのコーラ  ・・・300円
■甄姫さんの爽健美茶 ・・・300円
■司馬懿くんのミネラルウォーター ・・・200円
■張コウさん(くん?)のいちごスムージー ・・・500円
■曹丕くんのファンタグレープ ・・・300円
■曹操くんのドン・ペリニヨン・・・価格はボーイにご確認ください(※未成年にはご提供できません)




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