避難訓練





新学期だ。
新学期初日といえば、始業式→教室に帰ってHR→宿題提出→避難訓練だ。

始業式の式次第が済んだ後、朝礼台に陸遜が上がってきた。
全校生徒に一礼して手元の紙を開く。

「非難訓練実行委員長、1年呉組の陸伯言と申します。このあと教室に戻りホームルームをした後、避難訓練がありますのでお知らせします」

「お、陸遜じゃねえか。あいつ1年のくせに委員長なんかやってんのか」
「こら甘寧。整列を乱すんじゃない」
フラフラする甘寧を呂蒙が注意し、「言われてやんの、さすがに育ちが悪いねえ」と凌統がチャカす。
「なんだとテメェ、もっぺん言ってみろ」
「何度でも言ってやるっての」
「上等だコラ」
「こっちのセリフだ」
ゴスンと呂蒙の拳が二人の頭に落とされる。
「二人とも、後輩が頑張っているんだ、静かに聞いてやれ」

「避難訓練は訓練とはいえ、押さない、駆けない、しゃべらない、戻らないの”おかしも”を念頭に置いて迅速に行動してくださるよう、実行委員からお願いします」

陸遜の真面目なお話にあくびをし出す生徒もでてきた。
けれど陸遜は顔色を変えず続ける。

「なお、今回の避難訓練は限りなく実践に近い訓練です。大事なことなのでもう一度言います。今回の避難訓練は」



ここで陸遜が一瞬言葉を止め、少し笑うような口の形を作った。



「限りなく実践に近い、火災避難訓練です。二階の化学室から出火しますので、絶対に化学室付近には近寄らないでくださいね・・・」



本気やる気