生写真





「甄姫先輩!聞いてくださいよー!」

廊下を駆けてきた尚香が甄姫に飛びついた。

「あら、どうかしたのかしら?女子そろい踏みね」
「どうしてもこうしたもないんですよぅ!ぷうー!」

尚香の後ろにいた小喬は怒り心頭の様子。
ほかにも大喬、星彩、張コウ、月英に貂蝉までいた。

「男子が、女子の生写真をこっそり売りさばいてるんだそうです」と大喬。
「しかもそれが入浴中や、裸の写真だというのです。許せません」と月英。
「プールの更衣室にでも隠しカメラが仕掛けられていたのかしら」と貂蝉。
「売った人間と買った人間を突き止めてねじり切ります」と星彩。
「なんてことかしら・・・」

甄姫は青ざめてよろめいた。

「神聖な学園内でそのような不純な売買が行われているなんて。わたくしの身体は我が君だけのものですのに」
「この美しき張儁乂の美しき裸体が荒くれた男達の目にさらされているなんて、ああ!なんたる悲運!」

なお、張コウは女子ではない。

「犯人の手がかりはありませんの」
「そういえば・・・」

張コウが呟く。

「先ほど張遼殿が”一番人気の写真を手に入れることができた”とおっしゃってホクホクしていたような・・・」



「「「「張遼殿が私の裸写真を!?」」」」



星彩以外の全員が(どこか嬉しそうに)声を揃えた。
一瞬、殺伐とした沈黙が女子の間に広がった。



そして



「さきほど買った写真・・・ですか」

さっき買った写真を出せと女子に詰め寄られ、張遼は心なしか恥ずかしそうに胸元のポケットから写真を取り出した。



写真には、身体を洗われる赤兎(うさぎ、メス)が写っていた。