校長先生のお話








アズラエル氏、ザラ氏の両名が朝礼台の一本のマイクの前に並んだ。
整列した生徒たちはおよそ三名を除いて、緊張の面持ちでそれに注目していた。
ある選手らはアズラエル氏の突飛な水色スーツに目を見張り、
またある選手らはザラ氏の眉間の皺に萎縮している。
そしてまたある三人の選手は、本を読みふけり、音楽を聴き、ニンテンドーDSに夢中だ。
横に居たナタル審判員が注意をしても「うぜえ」と返すばかり。


「はいみなさんこんにちは、地球連合代表のムルタ・アズラエルです」
「わたしはプラント最高評議会議長、パトリック・ザラだ」
「今日は戦争ではなくスポーツの祭典ですからねえ」
「選手諸君にはそれを踏まえた振る舞いを期待する。ドーピングなどもってのほかだ」
「まあ、生まれながらのドーピングさんたちに言われたくないですけど、そういうことです」

「活躍をした者には地球軍、ザフト軍、オーブ首長国より、特別賞と賞品が授与される」
「あぁオーブのは期待しちゃだめですよ。図書券ですから」
「ふん、どうやら債務がかさみ過ぎてまともな賞品もだせないらしいな」
「そちらの提供品も図書カードでしょう?」
「貴様なんぞテレホンカードではないか!」


カンカンと照りつける日差しの下、選手たちはじっと大人ふたりを見つめていた。
大人ふたりの足元を。

足、踏みあってる。











「クルーゼ隊長ぉ、イザークが貧血でたおれましたー」