障害物競争





アスランの応援のため、お忍びで観に来ていたラクスの正体は
アスランの失態によって観客にバレた。
あのまま観客席にいさせるよりも、来賓席に座らせたほうが安全と判断し
彼女はフィールド内、来賓席まで案内されてきた。

「すみません、ぼくのせいで」
「いえ、いいんですのよ。あなたが私の名前をうっかりよんでしまったおかげで
わたくしはこうして近くで観覧できるんですもの」

ラクスの朗らかな笑みに、アスランはほっと胸をなでおろした。

「ところでアスラン」
「はい」
「わたくしも競技に出てみたいのですけれど」
「ええ!?」
「いけませんか?」

ラクスは微笑する。

「あ、危ないですから」
「いけませんか?」

ラクスは微笑する。

「しかし」
「いけませんか?」

微笑。





そしてこの事態。

「障害物競争第1組、1コース、ラクス・クライン」

ラクスは結い上げた髪をなびかせ、歓声に手を振り返した。
アスランはハラハラしながら見守っている。


「位置について」

空砲係のカガリが空に銃を向ける。

「よーい!」



発砲音と同時に選手が一斉にスタートした。
選手は横一線の状態で最初の障害「跳び箱」に差し掛かる。
選手は全員訓練をうけた軍人なのにラクスが横一線で跳び箱にさしかかかったことには
アスランは心の目を閉じた。

しかし、ほかの選手が次々に跳び箱を越える中、
ラクスは跳び箱の手前で立ち止まっていた。
そして首をかしげる。
どうしたのだろう。









「これはよくありませんわ」
つぶやくと、コースの外を見やってにっこり。
そこにはダコスタがいた。

「どうにかできまして?」











ダコスタが障害をすべて撤去。ラクス1位でゴール