障害物競争





「障害物競争第2組、1コース、フレイ・アルスター」



フレイはさきほどから無理やり着せられたジャージについて
柄がダサいとか形が古いとか色がキモいとかそれもこれもみんなあいつらが悪いのよとか
コーディネーターなんてみんなコケちゃえばいいのよとか言っていたが
ラウ・ル・クルーゼ審判に「よく似合っているよ」と言われて今はすっかりご機嫌だ。

そしてご機嫌のまま出場種目である障害物競走のスタートラインについた。
スタートの空砲とともに横一線に飛び出した。
最初の障害、跳び箱はなんとフレイが最初に跳び越えた。
その見事な跳躍に観客からも歓声があがる。


「ねえ、サイ」
「なんだキラ」
「フレイって運動神経いいんだね」
「そうでもないはずなんだけど、ほかの選手がコーディネーターだからやる気満々なんだと思うよ」
「・・・女の子って、すごいね」


全速力でフレイが二つ目の障害にさしかかった。
ふたつ目の障害は、ぶら下がっているパンを口だけで取るというものだ。
ここでフレイは時間をとられてしまった。
なかなかパンを取れず、次々に後続に抜かされていった。
そしてなんと

パンを取る前にすべてのパンがなくなってしまった!



フレイは苛立ちが最高潮に達したらしく、眉間にいくつも皺を寄せた。

「あたしは・・・こんなことじゃ負けないわ・・・」

腕組みをし、「フン!」と先を走る選手たちを鼻で笑った。







「パンがないならケーキを食べればいいのよ!」