準備体操
大勢の観客に見られながら、朝礼台の上に引きずり出されたのは
「プログラム三番、準備体操。代表、地球軍捕虜、ディアッカ・エルスマンくん」
「ちきしょう・・・なんでオレ一人なんだよ・・・」
ディアッカは俯きながら、13階段をのぼる心地で朝礼台にのぼった。
整列する出場選手らに哀れみの目を向けられる。
ミリアリアも見ているが、彼女もまた彼に憐憫の情を禁じえないようだった。
ディアッカはぱっと視線をそらした。
「捕虜への暴行は禁止なんじゃねえのかよ・・・」
この、暴行と言っても過言ではない状況でディアッカはぽつりとつぶやく。
壇上に立つと、「ラジオ体操第1」のイントロが聞こえてきた。
”腕を大きく上にあげて背伸びの運動ぉー!”
無情にも体操は始まった。
* * *
最後の深呼吸がおわり、音楽が収束した。
ディアッカはほっと胸を撫でおろし、拷問に近い、観客にみられながらのラジオ体操を終えた。
壇上から一礼し、きびすを返す。
これで解放される。
そう思った。
音楽が、はじまる。
「なっ!」
これは
「まさか・・・!」
禁断のラジオ体操第2・・・っ!
(アズラエルがラジオ体操のテープをわざと止めなかった)