氷帝学園






芥川慈郎(3年A組)




球技大会前日、

「ジロ、おまえなんの競技でんの?」
「んーとねー・・・・・・・・・・・・?」
「おま、球技大会明日やで。自分の競技もわからんの」
「跡部、おれあしたなんの競技でんの」
「バスケだろ」
「そうなんだ」
「ったく。ホームルームで寝るからだ」
「跡部はなにでるの」
「テニス」
「いーなー」
「でもバスケっておまえ結構イケるんとちがう?」
「そーかなあ」
「イケるって。よく寝るから流川っぽいやんか」
「スラムダンクなつかC!」
「ダンクきめたら写真とったるわ」
「エヘヘー。がんばるぞー!」





球技大会当日

競技も半ば終了したころ、
忍足は廊下で跡部とジローに出会った。


「ジロ、おまえいつ試合や?」
「・・・もうおわった」
「負けたんか」
「うるさい!忍足くんのオタク!」
「お、おい」
ジロは忍足を突き飛ばすと目を潤ませたまま走っていってしまった。
「なんやねん・・・」

「おまえが流川だとかいらねえこと言うからだ」
「は?」
「あいつ背低いからってほとんどシュートさせてもらえなかったんだ」

忍足がなんの気なしに「流川っぽい」と言ったことで、ジローはきっと
自分が大活躍する姿を想像してわくわくしていたのだろう。
「悪いことを言ってもうたなあ」
忍足はジローが走っていった方を見て申し訳なさそうに呟いた。



「リョーチンって言うべきやったわ」



※振り返ると跡部がラケットを振りかぶっていた。