不動峰





神尾アキラ(2年3組)





「なー深司」
「なに」
「おまえなんの競技でんの?」
「・・・卓球、とか」
「おれはさ、野球でようと思って!球技大会だけはラケットをバットに持ち帰るぜ」
「・・・まーいいんじゃない。足だけは速いし」
「テニス界のイチローになってやるぜ!」
「・・・がんばれば」


* * *


「えーっと、今日のホームルームは球技大会の出場種目をきめます」
「やりたい競技にひとつ手を上げてください。人気のある種目はジャンケンで決めます」

一番前の席の神尾は、誰よりも早く挙手して立ち上がった。

「ハイ!オレ野球に出たいです!」

神尾のリズムは今日も、誰にも負けないほど早かった、






「・・・おれも」

「オレも野球がいいッス」

「じゃあ俺も」

「俺も野球で」


後ろの席から、ようやくリズムにおいついてきた男子生徒たちが次々に挙手をした。








数分後、黒板にはこう書かれていた。





































※ジャンケンで負けた。