山吹中






地味s ダブルス1
 南健太郎(3年F組)
 東方雅美(3年F組)











種目:野球

3年F組 対 2年E組




ピッチャー南に対し、いよいよ野球部の二年生でエースの墨田が
バッターボックスに入りました。



九回裏、
6対5
南くん東方くんのバッテリー率いる3年F組のリードで迎えた最終回。
しかし、緊張してしまった3-Fのピッチャー南は
2アウト満塁でエース墨田登場という場面に追い込まれていました。

ピッチャー南、踏ん張りどころです。
キャッチャーの東方が指でサインを送ります。
南は帽子のツバをぐいと下へ引きました。
しんと静まった校庭で、ひとりごくりと喉をならし、集中します。

ギャラリーが注目する中、

南くん、
振りかぶり、


投げたー!





































「ストラーック!」

ストライク、バッターアウト、ゲームセット。三つの単語を主審が号令した。
ゲームセット。
野球部エースを見事三振でこなし、3年F組の勝利だ!
誰もが予想しなかった結果にわーっと歓声が上がり、南のところにクラスメイトが押し寄せてきた。


「おまえら地味だと地味だと思ってたけどよくやったな!」
「南くんも東方くんも地味だけどすごいサインプレーだったよ!」
「地味sの名前は伊達じゃねえな!」
「胴上げしようぜ!地味sをみんなで胴上げ!」
「地味sバンザーイ!」


校庭のいたるところから地味sコールが湧き上がる。同じクラスメイトのみならず、相手のクラス、別の学年、
さらには二階の職員室から教職員の方々まで。

「ジミーズ!ジミーズ!ジミーズ!ジミーズ!」





敗北した2年C組、野球部エースの墨田は帽子をとって悔しさに唇を噛み締めた。

「・・・完敗です。地味s先輩」

「あはは、みんなありがと」
「どうしたんだよ南!そんな地味にじゃなくてもっとはっちゃけちゃっていいんだぜ?」
「東方もそんな地味な喜び方してないで、ウィニングランとかしてこいよ!」
「あはは・・・」







((みんな、地味って言いすぎ・・・))