室町十次っていいます。
よろしく。
今日は、めんどくさいんですけど小話します。





バカップル抄






俺の先輩に東方先輩っていう人がいます。
美人な彼女がいます。
先輩って言って、うちの部のマネさんです。
東方先輩も先輩も成績は良い方らしいんスけど、アホです。

三日くらい前のことです。
部活中、俺の横にいた千石さんが言いました。

「東方、ちょいちょい」

手招きされた東方先輩がやってきました。



「こら、千石。また東方くん苛めようとしてるんじゃないでしょうね」

先輩まで寄ってきて、千石さんは嬉しそうに笑ってました。

「実はさ、俺、昨日すごいこと室町くんに聞いたんだ」

俺はなんも言った覚えないんですけど、黙っときました。

「すごいことって?」

「実はさ…室町君のメガネって…」

そんなヒソヒソ話みたいに声を小さくしなくても…。
東方先輩も先輩も素直に耳を近づけるのやめたほうがいいですよ…、とは言わないで
黙っておきました。






スカウターなんだ






先輩が凄い速さで俺の顔を見ました。
目尻が裂けそうなくらい見開いてこっち見るからちょっとビビりました。

「まさか、そんなの、サイヤ人じゃないんだし」

動揺に震えた声で言わないでくださいよ。
まったく。そんなだから千石さんがおもしろがるんですよ東方先輩。
・・・とは言わないで黙っておきました。

「だってよく見てよ。どうみても、日本人の肌じゃないよ、室町君って」

・・・これにはカチンときましたけど、俺はもう面倒だったんで練習に混ざりました。

「それに、室町君の家って見たことある?」
「え?それは無いけど…?」
「ここだけの話なんだけど…、誰も知らないんだよ、室町君の家がどこにあるか」
「うっそ!?」

ヒソヒソ話してても思いっきり聞こえてました。
先輩、落ち着いてください。

「駅前で消えちゃうんだって」

それは駅前でバスに乗ってるんス。

「だれも室町君のそれ以降の下校風景を見たことがないんだってさ」

それはたんに同じ方向に帰る山吹生がいないだけス。

「俺、最近UFOよく見るんだよ。もしかして室町くんが…」

それはあなたがラッキーなだけス。






・・・二人とも、なにか言葉を返してください。
驚愕で言葉を失わないでください。






「まさか…あるわけないよ、な?千石」

声、震えてますよ東方先輩。

「うそ…嘘に決まってるよ東方君!また千石がからかってるだけよ。そうよね!?室町君!?」

そんなすがりつくような声出さないでくれませんか?
あー・・・もう面倒。
俺は振りかえって言いました。



「…201。先輩は…146ですよ」



そんなに衝撃を受けないでください。

「じゃ、じゃあ千石はいくつなの・・・?」
「6065くらいですかね」
「まあそんなもんかな」

千石さんおもしろそう。

「なら南は・・・?」
「203?204かな」
「俺・・・負けてるのか・・・」
「東方くん平気よ、南くんはきっとスーパーサイヤ人状態なのよ!見て、あの髪!」

先輩は思いっきり部長指したので、部長は遠くでビクッって震えました。

「東方くんはオールバックだから仕方ないのよ!むしろ通常状態で201だから、秘めてる戦闘力は計り知れないわ!」

「そうかな・・・。うん、が言ってくれるとなんか自信でてきたよ」
「よかった。落ち込んでいる東方くんなんて、、見たくないもの」
「うん。俺もこれからはの前では落ち込んだりしないから」
「いいのよ、たまには。あなたの弱さも受け止めたいから・・・」
「ありがとう、。俺、がんばって強くなるから…のためにも」

「東方くん・・・」

・・・」













二人とも、

顔近すぎ

顔赤すぎ

飛びすぎ

千石さんくやしがりすぎ。(自分からけしかけたくせに)






ダダダダーンッ!亜久津先輩が来てくれたです!」

太一が突っ込んできてようやく東方先輩と先輩が離れました。
めずらしいな、亜久津さんが来るなんて。
亜久津さんのおかげでようやくバカらしい会話も終わってくれました。
やっと練習にもどれる、と思ったら、

「室町クン、亜久津の戦闘力は?」

千石さんまだ言ってるんですか
はっきりいって怒るのも面倒です。
なので
俺は亜久津さんのほうを見ました。






うわっ!

っと言って、メガネを押さえたのは俺です。

「どうしたの室町くん、目が痛いの?!」

って心配したのは先輩です。さすが、このへんはマネージャー。



「いえ、別に…ただ」
「ただ?」



















スカウターが壊れました


























「「」」
















「さすが亜久津、計測不能か…」

いい加減勘弁してあげたらどうですか千石さん、とは言わないで黙ってました。

「みんなマジメに練習してくれよ」

そうかすかな声で呟いた南先輩の苦労がひしひしと伝わった一日でした。
俺、この人たちが引退しても部長にはなりたくないです。