実況!
 パワフルプロテニス!!











ども、氷帝学園三年の忍足侑士です。
ただいまうちのガッコの正門前におります。


校舎側、あかーコーナー、芥川ジローくん

道路側、あおーコーナー、千石キヨスミくん


その二人の間でオロオロしとんのが我が校の生徒会長、お嬢様

そのお嬢をめぐって、
今まさに骨肉の争いが繰り広げられようとしとります。
ここからの実況は氷帝のジュノンボーイこと忍足侑士がお送りいたします。

さて、赤コーナーにはジロの飼い主、跡部景吾が腕を組んで立ち、
青コーナーでは千石の飼い犬、亜久津仁が気だるそうに喫煙しとります。
ちなみに校舎二階の窓からは体育教師がこっちをじっと睨んどります。
俺らも長くここにいては危険や!
連帯責任連帯責任。


キーンコーンカーンコーン

下校時間のチャイム兼ゴングが鳴っりよった!


「で、君は誰かな?なにちゃんの横歩いてるわけ?」
おおーっと先制攻撃は青コーナー、橙髪のラッキーマンこと千石や!

「おまえこそダレだよ。かってにちゃんとかいうなばーか」
赤コーナー、パッキンのジロたんも負けてへん!

ジローははなっから好戦的な態度や!
早くも両者の間で激しく火花が散っとります。

メンチきり合っとる合間に、今の状況を簡単に説明してもらおか。
解説の向日さん、宍戸さーん?

「つまりあれだろ?ジローはが好きでいつもにベッタリなんだよね?」
「そんで山吹中のこいつがどっかでと会って惚れて校門で待ち伏せしてて」
「んでもってさ、と一緒に下校しようとしたジローと」
を待ち伏せしてた山吹中が鉢合わせになって今の状況だろ」


わかりやすい解説ありがとうさん!


ちゃん今日一緒にかえろーよ」
「なにゆってんだよ。うちの学校じゃない人のくせに」
「っせーな、パッキンは黙ってろ。ちゃんが迷惑してんだろ」
「メーワクなんかしてないよこのうんこ色。ねー!」
「うんこ色じゃねーしオレンジだし!目わるいんじゃないのアンタ」
「あたまわるいんじゃないの」

「・・・わたし」

「ほら、メーワクしてないって!」
「まだなんも言ってないじゃんか!」

「お、忍足くん!助けて!」

「助けてっていわれても俺アナウンサー役やしなあ」
「役なんて誰が決めたの、二人とも忍足くんのお友達でしょう!」
「えー、ジロはそうやけど千石は跡部のほうが仲いいんとちがうか」
「跡部君っ、千石君とお友達なのね?」


おおっとぉ、いきなり話を振られた景吾おぼっさま!
さてどうする?!
会長はかわいいゾ!
しかも目がうるんでいる!
おぼっさまは動揺している
動揺している!
会長、あともう一押しや、脱げ、脱ぐんや!



・・・



・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・



目をそらしよったー!




「おれのにラヴビームだすな」

さて、こちらは両選手いまにもつかみ合いになりそな雰囲気

「は?ビーム?オレのラヴはそんなもんではないんですけど!」
「おれだってそんなもんじゃないよ。カメハメ波くらい。ね、忍足くん」
「振んなて」
「アンタがちゃんのことが好きなのがカメハメ波ならオレは元気玉だな」
「元気玉出すのすごい時間かかるし、その間にぜったいたおせるもん」
「はいムリー、テレビ的にムリー、大人の事情でムリー。残念だったなパッキン」

わけがわからん!
一部にしかわからん攻防や。
さらにリングの外では会長が必死に景吾ぼっさまをゆすっとります!場外乱闘かぁ!
しかしおぼっさま完全無視。
我関せずの姿勢を貫いとる!

「おれなんかフュ―ジョンできるし」
「は?馬鹿じゃねーの。誰と?」

「・・・したことあんのかよ」
「ななな、何言ってるのよ!わ、わたしまだ何も誰とも」
「これからすんの」

をおおーっと

なんとぉ

芥川選手が公衆の面前で会長をハグしよった。
これには会長もびっくりや!
硬直。
硬直しとります。
そしてさすがの景吾ぼっさままでびつくりや!

「あく、芥川ストップッ!跡部くん助けなさいよ、部費けずられたいの!」

部費と聞いたおぼっさま、素早くジローの手からお嬢を助けよった。
良く言えば部活想い、悪く言えば金持ちのくせに意外とガメついおぼっさま!


「・・・てめ」

っと、ここで千石がジローの胸ぐらつかみあげたー!!

ついに全員謹慎処分かぁ!?







ゴスッ・・・!




でたーっ!
超至近距離からジロが頭突きをかましよったー!
対して千石はっ





ゴスッ!




やり返したーっ!





ゴス!
ゴス!
ゴス!
ゴスッ!







めっちゃ痛そう!

ただいま自分の目の前で壮絶な頭突き合戦が繰り広げられとります。
想像を絶する速さの頭突きや。
っと、さすがにふたりの額が割れて流血しとるわ!
これは危険な状態や!
ジローの金髪が、千石の白ランが赤いまだらに!
あぶない!
このままでは二人とも本当に大怪我やっ!

でもってみんな仲良く停学やー!




もう語尾に「!」つけるの疲れた。誰かいい加減このアホら止めー。



「やめとけ」



ここで同時に跡部と亜久津が二匹の獣を羽交い絞めにして引き離しよった。
両選手は頭突きできないとわかると足を伸ばして互いを蹴ろうとしとる。
せやけど残念!
ふたりとも足が短くて届きひん!
自分くらい長ければ届いたんやけど、残念!
ざんねん!

あ、別に笑ってへんよ?


「ふざっけんな!もうちゃんに近寄んなモンブラン頭!」
「それはこっちのセリフだみかんヘッド!」
ちゃんはオレのことが好きなんだよ」
「おれのことのほうがすきだもん!」
「嘘だね!アンタなんか好きになんねーよ!」
「なるよ!それにおまえのことのほうが好きになんない!」
「じゃあ本人に聞いてみようぜ!」
「いーよ!」




「「おれとこいつとどっちが好きなの!?」」





背後から羽交い絞めの状態でジローと千石が同時に会長のほうに振りむきよった。
こんなときばっかり気ィ合ってどないすんねん。
こまっとんな。
かわいそうに。
逃げ場ないもんな。
ご愁傷さん。


「わ、わたし・・・」

「「どっち!?」」

どっちの料理ショーみたいでおもろい。
ってそんなこと言ってる場合ちゃうわ。



「・・・わたしは!」



お、どっちか選びよったな!


































「忍足くんが好きなんです!」





芥川くんと千石くん人間じゃない形相でぼくを見ました。