キヨ&アックン2 















ちゃんかわいーだろ。オレのこと守ろうとして亜久津のパンチを受けにいったんだゾ」
千石は思い返して酔いしれた。









「…あんとき本気で殴ってたらテメェどうした」
「亜久津は本気でなぐんないっしょ」

横をピザ屋のバイクが通り過ぎた。
遠ざかる。

「でも、ホントに殴ってたら殺した」

ヒザ屋のバイクはもう来ない。

沈黙。
千石はいつものような浮ついた笑みでない笑みを浮かべた。

―――こいつ…

「あっそ」
「うん…。そんでね」
千石は亜久津に素早く振り向く。


ズボン下ろしてあっくんのシモをケータイで撮影する


―――アホだ









「あっくんちゃんのこと好きっしょ」

千石清純と話していると文脈とか脈絡とかいう言葉は永久にシカトされるということに亜久津は
ようやく気づいた。
脱力。
「別に」
返事にも覇気がこもらない。
「うっそダーン!」
カチンとくる。



「白状するダーネ!」
「誰だそれ」
「アヒル」
「しゃべんのかよ」
「しゃべってたよ。オレ試合で見たもん」
「・・・(人面魚とかいるくらいだから、いんのか)」

その時、おもむろに『清しこの夜』のメロディが流れた。

「お、マイハニーからのメールだ」


―――いま7月…


「今、なんでいま7月なのに、とか思ったでしょ?」

「(ビクッ!)別に」



千石は携帯を操作しながら言った。
ちゃんが好きな曲なのだ。」

―――
ちょっと・・・かわいい


「マジかわいいとかおもったっしょ?」
「(ビ、ビクッ!)別に」




『明日はお礼のクッキーを

 持っていくので、お友達と一

 緒に食べてくれると嬉しいで

 す。アツクくんにありがとうと

 伝えて下さい』




「だって!」
千石は大喜びして画面にキスをした。






ありがとうと言われたのはどれくらいぶりだろうか。
まぁまぁのヤツだ

反芻する。

"アツクくんにありがとうと"

"アツクくんに"


―――ちょっと待て。



「…アツ?」









「ア  ク」


「…?」


「アツクとか言って超ウケるー!アハハハハッ!」
千石は両手をバッチンバッチン叩いて『アツク』コールをした。



―――つぎ会ったら犯す




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