竹刀






朝練が終わり、南と一緒に早めに教室にあがった。
教室の窓を開ける校庭が見える。
登校中の生徒と、生活指導の宮本先生が見えた。
赤いトレパンに、やすそうなTシャツを着て、胸には笛、竹刀を持っている。
千石と南は、無人の教室で校庭を見下ろした。



「生活指導の宮もっちゃん、なんで竹刀もってるんだろうね」

「そりゃあ・・・怖く見せるためだろ」

「あれで叩いてるとこ南はみたことある?」

「ない」

「つーかさ、あれは剣道部とかが見たらどうなのかな」

「・・・それは、ムカツクんじゃね?」

「どうして?」



「俺たちでいうところラケットだろ。気に入ってるラケットとかで人殴るのヤじゃね?」

「ヤだね」

「うん」

「竹刀、持たないで欲しいね」

「うん」

「叩かないで欲しいね」

「うん」



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