1.ライフガード

キヨ「なー、ヒガヒガァ」

ヒガ「なに?千石」

キヨ「ライフガードって飲み物あるじゃん」

ヒガ「ああ、あの緑のペットボトルのだろ」

キヨ「そうそう。あれさー、飲むと寿命延びるって知ってた?」

ヒガ「え!?」

キヨ「マジマジ。名前がライフ・ガードじゃん。”命を守る”じゃん」

ヒガ「・・・(思案中)」

キヨ「だから俺最近飲んでんだー」

ヒガ「(驚愕)」

 

翌日の部活中、ベンチに置かれたライフガードを千石は確かに見た。

 

 

2.今日は中間テスト最終日

教科は歴史だ!

地味に一生懸命勉強してきた東方くんは昨日覚えたことを暗唱しながら登校してきた。

キヨ「おっはよー東方ァ!」

ヒガ「千石か、おどかすなよ」

キヨ「オレ全然勉強してきてないんだよねー、どこ出そう?」

ヒガ「うーん、ここは絶対でる。”イイクニ作ろう鎌倉幕府”」

キヨ「オッケー!イイクニ作ろう室町幕府ネ!」

ヒガ「ちがうってば」

キヨ「イイクニ作ろう室町幕府!イイクニ作ろう室町幕府」

千石は叫びながら行ってしまった。

 

そして、ついにテスト開始の鐘が鳴った。

ヒガ(えーと、”設問1、1192年に置かれた幕府はなにか”。お、さっそく出たな)

ヒガ(・・・・・・・・・・・・・あ、アレ?どっちだっけ?室町?鎌倉?)

ヒガ(イイクニ作ろう室町幕府、イイクニ作ろう鎌倉幕府、あ、あれ?どっちもしっくり来るゾ???)

ヒガ(最初からつまずくなんてどうしようどうしようどうしよう!か、勘で書いておこう!どっちかだし!)

 

 

ちなみに。

キヨ(”設問1、1192年に置かれた幕府はなにか”?しらねー!あれ?でもこれって朝ヒガヒガがいってたやつ?)

キヨ(1192・・・イイクニ作ろうなんとか幕府。なんとか幕府。ナントカ・・・室町だっけ?)

 

”うーん、ここは絶対でる。『イイクニ作ろう鎌倉幕府』”

”オッケー!イイクニ作ろう室町幕府ネ!”

”ちがうってば”

 

キヨ(あ、鎌倉だ。さっすがヒガヒガー)

 

 

 

 

      

 

 

 

3.歌丸師匠


キヨ「ヒガヒガー!ニュースニュース!」
ヒガ「なんだよ」
南「またろくでもないこと吹き込むなよ千石」
キヨ「ろくでもなくないって南。ちゃんさー、面白い人が好きなんだって!」
ヒガ「・・・へぇ(えっっ!?)」
キヨ「やべーよ俺。マネージャーとの禁断の恋だよー!」
南「誰もがおまえのことすきだなんて言ってないだろ(東方がのこと好きだって知ってんのに
   目の前で言うなよ)」
キヨ「可能性あるだろ(わかっててからかってるんだもーん、キシシ)」
ヒガ「・・・(どうしよう、俺全然おもしろくない・・・でも、は面白い人が好きは面白い人が好き面白い人が...)」



数日後のある日、部室に千石が飛び込んできた。

キヨ「おはよー!ちょっち聞いてよー!」

千石は笑い泣きをしていた。

キヨ「あ、ちゃんもいる。今日もかわいいね」
「どうしたのよ千石。そんなに慌てて」
キヨ「それがさー、さっきそこで東方見つけて追いかけてったらさ、あいつなんかの音楽聞いててさー
   それなんの曲?って声かけてイアホン勝手に取り上げて聴いてみたらさー」
南「?」












キヨ「落語聴いてやんのー!!」




















その日の部活でからかわれまくった東方が南だけに語った弁解。





ヒガ「だって。おもしろくなりたかったんだ・・・」









4.未知との遭遇

自動販売機前にて

ヒガ「(あ!十円たりないどうしよう・・・)」
ちゃりん
ジロ「あげる」
ヒガ「え、そうんな悪いですよ!(びっくりした。だれだこの人)」
ジロ「いーよじゅうえんくらい」
ヒガ「でも(緩慢なしゃべり方をする人だな・・・)」
ジロ「いーから。なに飲むの?」
ヒガ「(髪、すごいテンパだな。)」
ジロ「なに飲む人なの!」
ヒガ「え!?えっと、ポカリを(っておごられていいんだろうか)」

ポチ。
ガシャン。

ジロ「はい」
ヒガ「あの、ありがとう」
ジロ「いーよ。そのかわりさ、それどうやんの?」
ヒガ「(俺の髪を指差してる。これって?髪型のことか?)」
ジロ「ぽまーどってヤツ?」
ヒガ「え、違うけど。普通の固まる泡のヤツ」
ジロ「そんなふうになるの?」
ヒガ「た、たぶん」

ジロ「じゃ、明日やる。あんがと」
ヒガ「ええ!?あ、あのー!」

(ジロ、スキップで逃走)

ヒガ「これ、アクエリアス・・・」







5.氷帝事件簿


氷帝学園、男子硬式テニス部部室にて

ガチャ!

オシ「ジロが泣いてるってホンマか?!」
ガク「うっわ本当だ!」
ケゴ「ケッ、めそめそ泣いてるんじゃねーよ・・・っで、どうしたんだ」

ジロ「泡の固まるやつ付けたら髪ぴしってできるっていわれて嘘つかれた・・・」

タッキー「そういえば髪の毛ガビガビになってる。テンパのまんまだけど」
ジロ「あの人、絶対なるって言ったのに・・・」※言ってない

オシ「いったい何処のアホや、それ!」
チョタ「ひどいことをしますね」
シシ「おれらにケンカ売ってんじゃねーか?」
ケゴ「いい度胸だ。行くぞ樺地」
カバ「ウス」
オシ「毛穴から手ぇ突っ込んであごガクガクいわせたるわ!っで、それどんな奴やった!?」


ジロ「・・・白ランのオールバックで背が高い人」




















ケゴ「・・・誰だ?」

地味の功名










7.成長痛



「おい、てめえ」

後ろのほうで声がした。

しかし、自分が呼ばれたのだとはおもわず東方は振り返らなかった。

なぜならその声の主が亜久津だったからだ。

「シカトか?あぁ?地味」

振り返ると亜久津が怒りの形相で立っていた。

東方は数歩後退する。

「亜久津」

「なにやってんだてめえ」

東方はおもむろに胸倉をつかまれた。

「っなにもしてないだろ」

亜久津に呼ばれて振り返っただけだ。


「俺は亜久津仁だぞ」

「わかっ」

「みおろすんじゃねえ!」

亜久津くん 183cm
東方くん   187cm








8.自己啓発




東方雅美は考えてみた。

自分はなぜ地味と言われるのか

どのあたりが地味なのか

どうすれば地味といわれないのか

「どうしたんですか東方先輩」

「壇」

「元気ないです!」

「あ、いや。なんでもないんだ」

「でも・・・」

「ほんと大丈夫だから。ほら、亜久津来たよ」

「わ!亜久津せんぱーい!では、失礼します東方先輩」


(壇はいいな。明るくて元気で、絶対に地味なんていわれないだろう)

(壇にあって、俺にないもの・・・)


「亜久津せんぱーい!待ってましたですだーん!」

「うぜえんだよ!」





「・・・そうか、わかったぞ!」

東方は思わず声をあげて立ち上がった。

ちょうどそこへ千石が駆け寄ってきた。


「おはよーん東方!」



























「お、おはっ、おはようヒガっ!」








































「語尾は関係ないんだ東方・・・」

南は部室のかげで目頭をおさえた。