「こんなんじゃ全然足んねえんだよ・・・」

切なげなユーリがレイヴンの腰に馬乗りになり、襟首つかみ、顔を引き寄せる。

「もっと、おっきくできんだろ」
「い、いやあ・・・おっさんもうおっさんだからあんま無茶できなっ」

言い終わる前にユーリがレイヴンの襟首をもう一度揺すぶった。
わんこも男子も女子も皆別のテント。二人きりになった時だけ、ユーリはこのようにレイヴンを求めることがある。
興奮したユーリは夜でも昼でもすぐ近くのテントに子供が寝ていてもお構いなしだ。

「ちょ、だめだってば、青年っ」
「そんな事言ったって、前だってやってくれたじゃねえか」
「あれは青年がどうしてもって言うから」
「どうしても」
「あのねえ・・・」

ユーリの若さに頭痛を覚えながらも結局レイヴンは応じてしまう。
そして翌朝ひどく後悔するのだ。








「ユーリ!おっさん!あんらまたやったわね!」

天才少女が腰に手をあて、容赦なくレイヴンとユーリを指差す。
ユーリは頭の後ろに手を組んで目をそらして口を尖らせている。
レイヴンは「ちょ、青年あやまんなさいよ!」とそんなユーリに文句を言う。

「15個もあったのに、プリンの材料だけ1個もなくなってる!いったい何個作ったの!」

とカロルがからっぽになった食糧鞄の中を見せる。
ユーリは「一個だけだよ」とうそぶく。
「バケツで」と言い加える。

「ぶっ飛ばす!」
「ぶへえ!」

リタにぶっ飛ばされたのはレイヴンだけだ。

「な、なんでいつもおっさんだけ・・・」

そう、こうやって翌朝必ず後悔するのだ。