「はい、いくよー」


はじめのいーーーー・・・・・・・・・・




ルナマリアがオニ




・・・・・・・・・・・・・ーーーーっぽ!


「だるまさんがーこーろーんーだっ!」

ルナマリアが振り返ると皆ぴたっと止まっている。
まだ距離はだいぶある。
ルナマリアはミネルバクルーを見渡して指を指す。

「レイ動いた」
「動いてなどいない」
「動いたもん、ほらこっち来てよ」
「動いていないから行かない」

「動いたって、心臓が」

「シン。ルナマリアとオニを交代してくれ」
「えーやだよー。ルナもいい加減レイいじめやめてやれよ」
「はいはい。んじゃ次いくよー」


ルナマリアは再び一同に背を向けた。

「だるまさんがころんーだ!」

振り返ったルナマリア。
止まる一同。
誰一人動いていない。しかしルナマリアは指を指すのだ。

「レイ動いた」
「動いてない」
「動いたって、今度こそ動いたよ」
「動いてない」

「肝臓が」

「ヨウラン、ルナマリアとオニを」
「だーるーまーさーんがー」

「なあレイ、オレがルナを止めるよ」

ルナマリアが背を向けた瞬間にシンがにやりと笑って走り出していた。
シンの脚力はアカデミーでもトップだった。

「こぉーろぉーんー…」

あっというまにルナマリアの背後。
ついでだからドサクサでおしりに触っちゃおうかな、と
さあ、浮かれたシンの手はおしりの目前











「だっ!!」


振り返りざまの裏拳が空を切り、シンの身体は高く美しい弧を描く。
今、ようやく地面に落下してきた。


「はい、シン動いた」


にこやかなルナマリア。
シンは動いたっちゃ動いた。だが動いてないっちゃ動いてない。
そしてもうそれきり誰一人動くものはなかった。