カデンツァが無い!
ベートーベンのヴァイオリン協奏曲風はロマンスヘ長調作品50、ロマンスト長調作品40とバイオリン協奏曲ニ長調作品61の3曲です。特にヴァイオリン協奏曲はメンデルスゾーンとブラームスを加えて三大ヴァイオリン協奏曲と言われていますが、さらに、ベートーベンの協奏曲は「ヴァイオリン協奏曲の王様」であるといわれています。しかし、当初は好評でしたが、カデンツァが無いために人気がなくなってしまいます。ベート−ベンが書き忘れたのではなく、意図的に書かなかったのです。本人納得の一曲なのです。その後、ヨーゼフ・ヨアヒム
Joseph Joachim (1831-1907)が、カデンツァを付けて演奏するようになり、このような地位を得たわけです。実は、ベートーベンはこれをピアノ協奏曲に書き換えた時は、長大なカデンツァを付けています。したがって、ヨハヒムもカデンツァを付け易かったかも知れません。ところで、ベートーベンはなぜカデンツァを付けなかったかという疑問が解決していません。あくまで推測ですが、ヴァイオリンが苦手だったかも知れません。このヴァイオリン協奏曲を作っているときに、友人のヴァイオリン奏者からアドバイスをもらっていた話が残っています。得意は何かと言えば、「ピアノです。」とはっきり言えるでしょう。ピアノ協奏曲は5曲も作っています。どうも、ヴァイオリンとピアノ以外の協奏曲は作曲していないようです。ヴァイオリンという楽器は花型なので、仕方なしに作品61を作ったと考えると話がスムーズにいきますね。ロマンスの2曲はヴァイオリン協奏曲を作るための下準備だったと考えたらいかがかと。(写真はJoachim ) |