勝手にリスト解説
超人リスト
 ラ・カンパネラは、イタリア人のニコロ パガニーニ作曲の難曲ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調 Op.7の第3楽章の「鐘のロンド」をもとにしています。この曲をリストが聴き、ピアノのパガニーニになることを決意し、「華麗なる大幻想曲
S420 Op.2」(1832年完成)を作ったのです。この曲はリストが21歳頃作ったもので、ピアノ曲としては、冗談抜きで「超」が付く難曲です。140−3ですら録音やライブ演奏者は数名しかいないので、S420は録音やライブ演奏は無しなんですかね? いや録音した演奏家は若干名いるそうです。凄いですね!
 
リストの演奏会に聴きに来たかの有名なクララ ヴィーク(クララ シューマン)が、感激のあまり絶叫したという逸話が残っています。とにかく、凄いパフォーマンスであったようで、現在のグループサウンズが激しい演奏で当人が失神したり、観客も同様に失神する光景を目の当たりにしていますが、リストの演奏会も同様であったことが記されています。また、あまりの激しさのためにピアノを壊すので、3台くらい準備し、壊れたら即刻隣に移って演奏したといわれています。ピアノを壊す威力とはどのようなものか、想像しても凄すぎます。しかし、若い時はパフォーマンスを加えるような曲風でしたが、40歳ころに作曲した「パガニーニによる大練習曲第3番S141−3」(1851年完成)のラ・カンパネラは、どうみても美しく鐘が鳴っているように思います。S420よりはかなり易しく書き換えられましたが、落ち着きがあり、無理が無く、流れるように演奏することができます。芸術性が高まったといわれています。でも、若い時はガンガン行くべきです。
クララ ヴィーク(クララ シューマン)
 リストは、結果的には5曲のラ・カンパネラを作曲したことになりますが、1838年の第2版S140−3と1851年の第5版S141−3はクララに献呈しています。当時のクララは超有名な女性ピアニスト兼作曲家でした。このクララに献呈したわけですが、いささか挑戦的ではなかったかと思われます。クララはどちらかというと、自然流で流れを重視するタイプですが、御存じリストは技巧重視するタイプです。クララは演奏会にこのラ・カンパネラを弾いたでしょうか。ハッキリしたデータが見つかりません。今後の課題ですね。多分演奏しなかったのではないでしょうか。性分に合わないので?(汗) ラ・カンパネラを題材としたものは合計5曲作曲したと申しましたが、実は2曲(第3版と第4版)は未完成?であったようです。