ENKA III(佐藤邸)

山の頂に建つ住宅

1994年竣工


外観

集いの間(居間)


この住宅は,愛媛県西条市にある黒瀬ダムを一望できる標高273mの山の頂上に建てられたものです。周辺は杉と檜の林を豊富にたたえた山々が連なるたいへん自然環境に優れた場所です。この地に建物を建てることが自然破壊へとつながらないよう,このプロジェクトのメインテーマを「自然との共鳴」として設計にあたりました。


住環境に対して

まず,この敷地でしか味わえないすばらしい景色を日常生活の中で味わうことができることこそ,住み手の心の豊かさ=心の健康に通じると考えました。そこで敷地からのすばらしい眺望を最大限生かすように建物の向き(軸)を決め,リビングだけでなくバスルームやテラスといったさまざまな視点からも景色を眺められるように計画しました。

中央の約20畳の広さをもつ「集いの間」は,全面を無垢の杉板張りとし,その木目の暖かさが人々の心を和ませ,暖炉を囲んで家族や訪問者たちとのコミュニケーションの場となっています。

施主によると,この空間は常に森林浴を体験しているようで大変やすらげる空間となっているとのことです。

また,省エネ対策として気密性と断熱性を通常以上に考慮し,床はフロアヒーティングがなくても冷たさを感じさせないものとなっています(省エネルギー断熱構造として住宅金融公庫の割増融資が認定されています)。

地球環境に対して

屋根は地形に合わせた「むくり」と遠方の山々の稜線につながる「反り」によって形作られています。これは軽快さを表現すると同時に,山頂特有の強風の影響を少なくするためでもあり,できるだけ自然と共鳴する形状を考慮した結果です。

また外壁の仕上げ材は,この環境にふさわしい地元産の杉を使用しました。

構造は檜とテンション材による高強度構造となっており,阪神大震災の際にも全く影響なく,100年以上の耐久性を持つように考慮しています(但しメンテナンスは必要です)。

これらにより,地域優良木造住宅として住宅金融公庫の割増融資が認定されました。

今後の課題

現在,敷地内にカフェを計画中ですが,より積極的に新エネルギー利用を取り入れていこうと,太陽発電を導入するなどの検討を行っています。

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