エネルギ−問題
エネルギ−問題の現状
新エネルギ−について
主な新エネルギ−の動向
省エネルギ−対策
高断熱・高気密
■エネルギ−問題
エネルギ−に関する問題は、石油に替わる将来的なエネルギ−の確保と、地球環境破壊の2つがあります。ここでは,新エネルギ−の開発・利用と省エネルギ−の対策を現実的に扱える範囲内で、より具体的に考えていきたいと思います。
I. エネルギ−問題の現状
「コスト低減を通じた経済成長」とエネルギーの需給バランスを、どのようにとっていくのかが問題となっています。
「環境保全」については、大気汚染や酸性雨の問題,地球温暖化が懸念されています。特に、地球温暖化は化石燃料を大量に消費することで生まれる二酸化炭素が主な原因で、これを防ぐには単純に二酸化炭素の発生量を抑えるしかありません。つまり,化石燃料の使用を極力制限するということです。
これらの問題に対して、原子力のほか水力、地熱、太陽光、風力などの自然エネルギーを取り出す自然エネルギーの開発が進められています。また、どんな新エネルギーの技術も闇雲な電力消費の増大を保証しようというものではありませんし、環境負荷を小さくするためにも、省エネルギーを進めていかなければなりません。
II. 新エネルギ−について
エネルギー問題の全体像知るためにも、新エネルギーとしてどのようなものの研究が進められているのかを紹介します。
(1)太陽熱発電
(2)太陽光発電
(3)波力発電
(4)潮力発電
(5)海洋温度差発電
(6)地熱発電
(7)高温岩体発電
(8)風力発電
(9)バイオマス燃料
(10)メタンガス
(11)マイクロ水力発電
(12)蓄電
III. 主な新エネルギーの動向
1.新しい太陽電池
「着脱式」「屋根パネル式」「断熱パネル式」「ガラスカーテンウォール方式」「金属カーテンウォール方式」などがあります。
利用方法としては、日中はソーラー発電の電気を利用し、不足分は通常の供給される電気で補います。また、ソーラー発電で発電して家庭で使いきれずに余った電気は、昼間の電気料金とほぼ同額で電力会社に売ることができます。
2.太陽熱温水器
水道直結型真空式温水器
従来の機器では、一旦温めた湯が逆流するおそれがあるため、上水道との直結は認められていませんでした。しかし、水道直結型真空式太陽熱温水器では、本体の耐圧構造と逆止弁の使用により直結が認証されました。水道圧を利用できるので、2ヶ所以上の同時給湯も可能になりシャワ−も問題なく使用できるようになり、地上設置も可能となりました。
このタイプは(社)日本水道協会の型式承認を給湯器具(湯沸器)として取得しているため、自治体水道局の承認を受ければ新築物件でも上水道を接続して施工できます。
3.強制循環式ソ−ラ−給湯システム
強制循環式のソ−ラ−給湯システムなら屋根に取り付けるのは集熱板(コレクタ−)だけで、従来の約1/3の重量で済みます。
集熱器と貯湯槽の間を循環する熱媒体には不凍液を用いてますので、冬でも凍結の心配がなく、面倒な水抜きも必要ありません。また、集熱器には直接水が流れませんので、水質(硬質など)による目詰まりの心配もありません。
4.地熱発電
火力発電では石炭などを燃やしその熱(蒸気)でタービンを回して電力を得ます。地熱発電所では地下で発生する高温の蒸気(温泉)を回して電力を得ます。石炭の代わりにマグマの熱を用いた火力発電所のようなものです。高温熱水が出る場所が限定される、硫黄臭いなどのマイナスイメージのためかあまり華やかな印象はありませんが、発電コストが既存の発電方式のものに近く、環境へのインパクトも極めて小さいことなどから新エネルギーの中では最も現実的なものの一つです。
5.簡易型中小地熱発電
普通の地熱発電所は数万kwの出力をもつものですが、その1/100の数百kw程度、住宅で数十件分の出力を持つものが簡易型中小発電です。大きな発電所だと立地の問題などを解決しなければいけませんが、この方式では最低限の条件(高温熱水(蒸気)がでるかどうか)さえ整えば地熱発電ができます。
6.風力発電
風力発電は、オイルショックを契機に日本を含め世界中で開発が続けられてきました。
これまで行われてきた様々な実験・研究の結果、今では大型のものが主流です。設備投資が一台1〜2億円程度で,得られる電気量が数100kwなのは簡易型中小地熱発電とだいたい同じです。季節や気候に左右されるなどマイナス要因も少なくありません。
7.マイクロ水流発電
自分の家のそばにせせらぎがあれば、こんなに都合のいいものはないという発電方式が、この低落差小水力発電システムです。2〜3メートルの水の落差を利用して数kwの電力が得られます。出力が5kw程度のものであれば大型乗用車一台分位の費用で設置でき、しかもメンテナンスフリーです。これから見直されそうなコンパクトでさりげない発電方法です。
8.バイオマス
新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)では、通常のゴミ処理場を高温高圧に耐えられるようにすることで効率を良くし、発生する電気の量を増やす研究が進められています。50トン/日のゴミから800kwの出力が得られます。50トンのゴミが人口5万人くらいの街のゴミの量に相当することを考えると、ゴミで得られる電力では対象となるエリアが必要とする電気料の1〜2%にしかなりません。
9.空気電池
空気電池は、正極活物質として空気中の酸素、負極活物質として亜鉛等の金属を用いる電池です。空気中の酸素を用いるために、クリーンで資源的にも有利であり、軽量でエネルギー密度が高い(寿命が長い)という特徴を有しているために、電気自動車等の移動用電源としも期待されています。現在では、コンビニなどでも補聴器やポケベル用としてひろく販売されています。しかし、これらは低出密度用電源としての利用であり、電気自動車向け等の高出力用途にはまだ多く課題が残されています。
IV. 省エネルギー対策
2000年に向けた総合的な省エネルギー対策について、総合エネルギー対策推進閣僚会議(平成9年4月1日)では、産業分野、民政分野、運輸分野、横断的対策等の四分野において、基本的な考え方、具体的対策について協議されました。
1.具体的対策として協議された内容
・省エネルギー型住宅の普及促進
・新築住宅の省エネルギー化の推進
・既存住宅の省エネルギー化の推進
2.住宅以外の建築物の省エネルギー化の推進
・新築建築物の省エネルギー化の推進
・既存建築物の省エネルギー化の推進
・共通対策
3.エネルギー消費機器対策
・効率的機器の普及促進のための環境整備
・効率的機器の普及促進対策
V. 高断熱・高気密
住まいを断熱化・気密化することで、夏は熱の侵入が防げ、冬は熱が逃げるのを防げます。十分に断熱化・気密化した家はわずかな冷暖房エネルギ−で快適に過ごすことができます。
1.設計段階で考慮する項目
・断熱性と気密性
・断熱工事の方法
・外断熱
・内断熱
・構造別断熱工法
・通気工法
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