環境ホルモン問題

環境ホルモンとは?
環境庁の指針
環境保全に関する法令上の規制等



■環境ホルモン問題について

 私たちの身のまわりには、プラスチック、塗料、合成洗剤、殺虫剤、医薬品、化粧品、農薬、ハイテク材料等数多くの製品があふれていますが、これらはすべて様々な化学物質を利用して作られており、化学物質は私たちの生活になくてはならないものになっています。
 このように有用である化学物質も、その製造、流通、使用、廃棄の各段階で適切な管理が行われなかったり事故が起きれば、深刻な環境汚染を引き起こし、人の健康や生態系に有害な影響をもたらすおそれがあります。日本では、高度経済成長期に、メチル水銀による環境汚染が原因の水俣病などの深刻な公害問題が発生し、このような過去の悲惨な経験を繰り返さないために、国や自治体、産業界も含めて、様々な対策がなされてきました。しかし、現在でも、化学物質による有害な影響のおそれが全く無くなったとは言えません。例えば、ダイオキシン類による環境汚染の問題、環境ホルモンなどによる問題などの様々なタイプの環境問題が人々の関心を集めています。また、長期間にわたって保管されているPCBの処理の推進も緊急な課題となっています。


PCB(ポリ塩化ビフェニル):
 PCBは環境中で分解しにくく、生物の脂肪組織に蓄積しやすい性質をもっています。昭和43年に発生したカネミ油症事件の原因がPCBであることがわかり、PCBによる人の皮膚や肝臓への障害が知られるようになり、きわめて深刻な問題となりました。その後、全国的な環境調査の結果、琵琶湖や東京湾などでPCB汚染が明らかになったほか、母乳からもPCBが検出されました。このため、PCBは昭和47年にその製造が中止されています。 その後、PCBを使った電気製品などは回収されることになりました。しかし、それらの多くは廃棄処分できずに、保管されたままになっています。現在、これらのPCBを安全に処理していくことが課題となっており、環境庁では環境安全性の高い処理方法により処理を進める方策について検討しています。



I. 環境ホルモンとは?

 環境ホルモンとは、生殖等の内分泌機能に影響を及ぼす化学物質の総称です。人間や動物の体内に入ると,女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをして生体内のホルモン作用を攪乱させるといわれています。ダイオキシンをはじめ、農薬類・合成樹脂原料・可塑剤など様々な物質が疑われていますが、まだ明確には分かっていません。人及び生物の生殖と発育という基本的な生物の生存条件に影響を与える可能性が懸念されている化学物質です。



II. 環境庁の指針

 環境庁では,平成10年5月に、現時点での外因性内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)問題についての基本的な考え方や,今後進めていくべき具体的な対応方針をまとめた「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」を発表しました。環境庁ではこれに基づき各種の調査・研究を進め、行政的な措置のあり方について検討していきます。

1.外因性内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)の特性
2.外因性内分泌攪乱化学物質問題の調査
3.人や野生動物への影響に関する報告
 1)野生動物への影響に関する報告
 2)人の健康への影響に関する報告



III. 環境保全に関する法令上の規制等

1.環境保全に関する法令上の規制等の状況

 1)ダイオキシン類及びフラン類は、我が国では一括してダイオキシン類として「大気汚染防止法」及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」においてゴミ焼却施設等の主要な発生源が規制対象とされています。

 2)プラスチックの原料であるビスフェノールA、プラスチックの可塑剤等に使用されるフタル酸エステル類の一部の物質,界面活性剤であるノニルフェノールエトキシレート(分解によりノニルフェノールを生じる)等はその生産量が年間数万トンから数十万トンと他の物質に比べて多いものとなっています。なお、ビスフェノールAについては食品衛生法において食品容器からの溶出基準が定められています。

 3)内分泌攪乱作用を有すると疑われる重金属、カドミウム,鉛,水銀は「水質汚濁防止法」、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づき規制対象とされているほか、カドミウム、鉛は「大気汚染防止法」上の規制対象物質である。





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