岡崎市近未来都市構想2020の概要

1.目的と方針
2.広域的エリアでの岡崎市の位置づけ
(1)産業都市としての位置づけ
(2)観光都市としての位置づけ
(3)高齢者対応都市としての位置付け

1.目的と方針
 本研究は、岡崎市のまちづくり基本理念および将来都市像を念頭に岡崎市の将来を見据え、市の中心に位置する伝統的商店街の活性化を目的に、岡崎の文化、歴史を継承した独自性のある近未来像を構想するものである。


2. 広域的エリアでの岡崎市の位置づけ

(1)産業都市としての位置づけ

 岡崎市役所は東経137°10′34″、北緯34°57′06″に位置しており、岡崎市としては古来より交易、政治、文化の要地として拓かれ、矢作川とその支流乙川との合流地点に位置する豊かな自然環境に恵まれ、付近一帯の丘陵と相まって観光、文化、住宅の適地としても最良の環境である。
 また、西三河を代表する都市でもあり、広域交通の要衝として発展し,商工業などの産業活動をはじめ,県下でも比較的整った文化・生活環境や良好な自然環境などを背景に,人口の伸びも高い地区となっており,現在は輸送用機械機具関連を中心とした近代工業をはじめ,繊維・ 食品・石製品などの伝統地場産業があり,調和のとれた生産都市として内陸工業地帯の一翼も担っている。
 そうした中で,近年,東名高速道路や国道1号など国土幹線の混雑や,豊田市,衣浦東部地区など周辺地域の地域整備の進展等により,交通条件や都市拠点性の面で相対的にその優位性の低下もみられるようになっているため,新たな交通基盤の整備を促進しながら,既成市街地の活性化,都市機能の強化など,西三河地域の中心地区として広域的な拠点性を高めていくことが重要な課題となっている。
 また,岡崎市における高度情報化の取組みなど,全県的にもモデルとなる取組みをさらに発展させるとともに,歴史・文化資源を生かしたまちづくりを通じて都市的魅力を高めていこうとしている。
一方,産業面においても,あいち学術研究開発ゾーンの拠点地区の1つとして,生産,流通,研究開発機能等の集積を図るとともに,世界的にも有数の学術研究拠点である岡崎国立共同研究機構との連携を進めていこうとしている。
 こうした都市部の問題に加え,山地から平野に至る接点にある当地区においては,里山や河川の保全と活用など,恵まれた自然を生かして,さらに快適な生活環境を整えていくことが重要とされる。
今後,この地区は,西三河の中心にふさわしい文化,学術研究等の機能を強化しつつ,高度情報化への対応をまちづくりの重要な鍵ととらえ,これまで様々な情報化施策に取り組み,地域の情報化については,平成元年に「岡崎市地域情報化基本構想」が策定され,この中で目標とする都市像を「高度知識都市おかざき」と掲げ,この実現に向けた情報化が推進されている。
 平成2年には「岡崎市地域情報化基本計画」を策定し,郵政省のテレトピア構想のモデル都市の指定を受け,地域の情報化推進のためのシステムの構築・運用に取り組んできている。

 平成8年には郵政省と県の補助を受け,情報拠点施設となる「岡崎市情報ネットワークセンター」がオープンし,今後はこの施設を軸として,ネットワーク整備,提供情報の充実を図り地域情報化を推進している。その成果も生かして,県下有数の魅力ある生活環境を整えた中核都市地区としての発展をめざしている。


(2)観光都市としての位置づけ

 「五万石でも岡崎さまは アーヨィコノシャンセ お城下まで船がつく ションガイナ」とうたわれた岡崎小唄からもうかがえるように,岡崎は古くから矢作川や乙川水運の要所として発展した城下町であり、また、300年も続く天下太平の世を築いた徳川家康の生誕地として,あまりにも有名です。岡崎城跡の岡崎公園内には家康の産湯の井戸なども保存されており市内には,徳川家ゆかりの史跡や文化財が数多く残され,大樹寺,伊賀八幡宮,六所神社,滝山東照宮などは,今も広く人々の崇敬を集めています。
 江戸時代は東海道の宿場町として栄え,その面影は板屋町や八帖(はっちょう)町の古い家並みに見ることができ,また古くから地場産業が盛んで,岡崎は花火の町でもあり,毎年8月に行われる花火大会は,全国の花火師がその技を競い合う壮大なもので,40万人の人出でにぎわいます。また,花火大会の見所の一つに,おそらく全国でもここだけだと思いますが,水上に花開く「金魚花火」という珍しい花火もいろどりを添えます。石灯籠(いしどうろう)などは全国一の技術を誇ります。こうした歴史の町も,一方で工業化が進み,特に,隣接する豊田市に,世界にその名を知られるトヨタ自動車工業が興ってからは,これを原動力に大きく飛躍,近代化の一途をたどっている。岡崎公園は,岡崎城の城跡を公園にしたもので岡崎城や三河武士のやかた家康館を中心とした歴史と文化の公園として親しまれ,岡崎城を中心に乙川堤から伊賀川堤に桜3000本が咲き乱れる。夜桜は東海随一といわれる。
 観光客は年間30万人程度。しかし,蒲郡方面への通過ポイントとしての途中下車のパターンが多く,観光地近くの商業エリアが,観光客を取り込めていない。
 季節によって,桜祭りや花火大会など文化財と共に存在しているにも関わらず,何か一般に浸透してしまって,外の人がと言う感覚ではない。この様な,今ある岡崎の個性の使い方の再考が必要であると思われる。また,名所・旧跡と共に,街の日常性や歴史性と言った「街の文化」との接点の様なところへの観光が大きな割合を占めていく可能性がある。


(3)高齢者対応都市としての位置付け 

 全国的に少子・高齢社会の到来により子どもを安心して生み育てられ,高齢者が自分らしく生きがいをもって暮らせる社会の構築が求められているなか,岡崎市の高齢者人口の状況(平成10年4月1日現在)は,岡崎市全人口331,779人,うち65歳以上人口40,049人,全市に占める割合は12.1%(前年比0.5%増)となっている。そこで岡崎市は,主要課題として保健・医療・福祉の連携強化を掲げている。また第4次総合計画のもと「明るく,住みよい,豊かな岡崎市」をテーマに将来都市像の具現化を進めている。
 第4次岡崎市総合計画では,保健福祉の充実について「愛と希望に満ちた生きがいのある都市づくり」を目標に,高齢者福祉対策を以下のように紹介している。 

・平成12年度から実施する介護保険制度にあわせた新たな老人保健福祉計画の策定を実施する。
・教養の向上や健康増進,レクリエ−ション及び地域社会との交流を目的とした,老人クラブの育成,強化に努める。
・老人保健福祉計画に基づきホームヘルパーの増員,デイサービスの充実を図る。
・保健,医療,福祉に係る相談,指導及び要介護者に必要なサービスの提供を迅速に決定するため,地域福祉サービスセンターの充実を図る。
・在宅の要援護老人の介護者等の,在宅介護に関する総合的な相談に応じるとともに,介護に係るニ−ズに対応した各種の保健,福祉について関係機関との調整を図るため,老人介護支援センタ−の整備充実を推進する。
・老人医療費助成制度については,国,県,医療機関等との連携を密にし,適正な運用と制度の充実に努める。  
・在宅福祉の拠点施設として,平成11年度に(仮称)西部地域福祉センターを建設し,さらに,新たな地域福祉センタ−の建設を推進する。      
・平成12年度の介護保険制度の円滑な施行に向け,介護保険事業計画策定,事務処理システム開発,要介護認定申請事務,関係機関との調整,広報啓発など関係準備事務を推進する。



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