商品情報開発システム

研究の目的

商品情報開発に関する調査

関連調査

結論


研究の目的

 現在、岡崎市中心市街地は、大型店の撤退、中央郵便局、職業安定所等の集客力のある核施設の郊外移転やジャスコ、ダイエー等の近隣への進出による影響を受けて、空洞化、衰退化し、この地域の小売り商業者を取り巻く経営環境は、年々厳しさを増してきている。これに対し、行政は三河小町をはじめ中心市街地活性化のための様々な対策を試みている。
 本研究は、岡崎市の平成11年度街おこし推進事業として行われた、伝馬「自慢の一品」活動の継続上の研究として位置づけられ、店側の立場ではなく、消費者側、特に商店街が対象としようとしている若者からの視点に立って店の一品を探り、店と消費者の感覚の差異について検証し、街への集客力に結びつく商品開発への方向性を示唆する。さらに、その商品化と販売方法を考察しながら、その対象について検証しなおし、商店街の活性化に結びつく方策を提示することを目的とする。


商品情報開発に関する調査

・訪問調査
岡崎東康生町商店街、籠田商店街、伝馬通商店街の中から商品を販売してない店、チェーン店等で商品に商店街の特色が出ない店を省いた内の25店舗(図1)について調査を行った。
最初に対象とする店舗を2班に分かれてまわり、各班毎に二品を、そして店主側から「自慢の一品」を選出してもらい、合計五品目(重複する場合はそれ以下となる)についてその特徴と選出理由を明記する。

図1 対象地区周辺地図

・アンケート調査
訪問調査の結果をもとに、店主の一品とそれ以外の四品の中から調査員内での協議により二品を選出し、合計三品を店のおすすめ品として20歳前後の若者100人を対象に図2に示すアンケートを実施する。その際、店の一品を選出すると同時にその商品の購買力に結びつく魅力や要望についても調査する。

図2 アンケート調査内容

・調査結果
アンケート結果に基づき、各店舗の一品についてまとめたものが表1である。
このアンケートで店主の選んだ一品を若者が1位に選んだ割合は28%、2位に選んだ割合は25%、3位に選んだ割合は47%であり、店主の一品が選ばれたのは25店舗中6店だけであり、店主と若者との感覚の差異の大きさが顕著に現れた結果となった。
店主の一品が店の一品として選ばれた6店について見てみると、それらの商品は現在テレビや雑誌等で話題の商品やその店の売れ筋の商品をあげており、必ずしも店主の感覚によるものではないと考えられる。このような結果の中で、若者が流行品や新しい物だけでなく、雪駄等の伝統的な物も選ばれている点は興味深い。
また、アンケート結果で1位に選んだ商品を買いたくないと回答した者の意見を示したのが表2である。ここではコスト面での要望が圧倒的に多く、値段が高すぎるものは良いと思っても買いたいとは思わず、安ければ買うという意見が多かった。次に、もっと若者向きのデザインなら良いという意見や同じ商品でも色やデザインのバリエーションがもっと多い方が良いという意見が出ており、デザイン面での改良を望む意見多かった。中には、良いとは思うが自分で買ってまでは欲しくはないという意見や自分は欲しくないがプレゼントのためには買いたいという意見もあった。
特異なものとして、もっと有名だったら買いたいという意見もあり、現在の若者がテレビや雑誌等の評価を重視していることがわかった。

表1 各店舗一品アンケート結果

表2 商品の改善に対する自由意見


関連調査

 既に50年以上も康生地区で毎月二と七のつく日に開かれている二七市に訪れる人に対して集客力の要員となる二七市の魅力についてアンケート調査を行った。
調査項目は、年齢、性別、居住地、二七市までの所要時間、頻度、滞在時間、魅力について81名に行った。
 その結果、二七市には、月に何度も足を運ぶという人も多数あり、また二七市に訪れる人の60%が50歳以上の高齢者であることが分った。二七市の魅力について意見を聞いてみると値段が安い、新鮮なものが多い、人との会話や出合いが楽しいという意見が多く、高齢者のコミュニティの場の一つになっていることが理解できる。また、月に何度も足を運ぶ人がいるということは商店街にもその集客の要素があると考えられる。

図3 回答者の年齢

表3 二七市の魅力にたいする自由意見


結論

 これらの結果より、商店主と若者との間には商品に対する感覚の差異があり、これまで伝馬「自慢の一品」活動で、商店主がおすすめの品を紹介しているのだが、対象とする客層のイメージが正確に定まっていないことが集客力の低下につながっていない理由の一つと考えられる。
 商品についても、店の一品を選んだものの購買欲にはつながっていないことも注目すべき点で、値段の設定、客層を定めたデザインについて商品を選定したり改良する必要がある。
 また、二七市での調査でも明らかなように客は、安い、新鮮、楽しいといった魅力に引かれて集り、客層としても高齢者が大半であることから商店街の活性化や集客の対象として、高齢者も考慮することが望ましいと考える。若者に対してはむしろ集客の対象とするよりもインターネットやiモードの普及を利用して、ネット上で商品や流行品を販売することの方が戦略的には成功を納める可能性が強い。従って、商店街では高齢者が利用しやすいように会話やふれあいのある楽しい雰囲気づくりを推進し、購入時の商品宅配サービスをもっと充実させることで、身軽に商店街を歩くことができる街づくりをすることが商店街の活性化につながると考える。



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