低山を長距離縦走 八王子丘陵を踏破 

 幾つもの小ピークを越えて

2021年2月21日


 
 
 茶臼山山頂からの展望
 唐沢山山頂

 
荒神山駐車場(700〜703)→荒神山登山口(705)→荒神山山頂(723)→茶臼山分岐(810)→茶臼山山頂(823〜836)→茶臼山分岐(849)→八王子山山頂(855)→鎖場分岐(909)→石尊宮分岐(910)→根本山山頂(915)→籾山峠(930〜935)→菅塩峠まで2.3K標示ピーク(941)→日向山山頂(1037)→菅塩峠(1050)→唐沢山山頂(1120〜1130)→太田市北部運動公園分岐(1136)→送電線鉄塔(1147)→運動公園まで2.7K標示(1245)→工事中の林道(1258)→登山口(1310)→治良門橋駅(1413〜1456)→阿左美駅(1504)→荒神山駐車場(1517)

 
 関東平野の北端である群馬県、栃木県の南部には広がる平野の中にまるで島のように標高200〜300メートルの丘陵が点在している。2月6日、その中の一つ、太田市の金山239メートルに足跡を残した。この際、この金山丘陵の北に「八王子丘陵」と呼ばれる、より大きな丘陵があることを知る。しかもこの丘陵にはよく整備されたハイキングコースが開かれているらしい。群馬県太田市ならば自宅からそれほど遠くはない。コロナウィルス対策で自宅待機を強いられ、ストレスも溜っている。行ってみることにする。

 この丘陵は北西から南東に向かって約7.5キロ程連なっているのだが、全山を一度に縦走するのは少々ハードとなるため、多くは、茶臼山を中心とする北西部分と唐沢山を中心とする南東部分を分けて登られているようである。ただし、私は丘陵の端から端まで一気に歩くつもりである。この程度は問題なく歩けるであろう。

 朝、5時50分、車で家を出る。まだ夜は明けていない。実はこの山行きは2月14日になされる予定であった。前の晩、支度を済ませて早めに布団に潜り込んだのだが、23時過ぎ、突如大揺れの地震に飛び起きた。おかげで計画は中止、今回、1週間遅れでの実行となった。熊谷から北上し、利根川を渡って群馬県に入る。ちょうど利根川の下流から真っ赤な太陽が昇ってきた。今日も一日天気はよさそうである。

 ちょうど7時、家から44.5キロ走って、荒神山登山口近くの荒神山無料駐車場に着いた。道路脇の5〜6台駐車可能なスペースが駐車場として提供されている。私が今日最初の1台であった。この場所は東武鉄道桐生線の阿左美駅から徒歩10分ほどの場所であり、帰路、この鉄道を利用してこの場所に戻ってくる計画である。

 支度を整え、すぐ近くの荒神山登山口に赴く、いきなりロープの張られた急登である。息せき切って一段上の緩やかな斜面に登る。落葉広葉樹の林に覆われた緩やかな斜面である。下地は一面篠竹の密生である。辺りは静寂そのもので人の気配は全くない。山頂まで300メートルの標示を見て、緩く下ると「荒神山西下り口」の標示がありふみ跡が右に分れる。すぐに山頂に達した。篠竹の切り開きの中の緩やかな高みである。石の小さな祠があり、ベンチとテーブルが設置されていた。

 休憩5分、物音一つしない林の中を進む。「荒神山南下り口」への踏み跡を分けると、山肌一杯に太陽光発電パネルの敷き占められた場所に出た。さらに登って下ると道は三つに分れた。そのまま尾根を進む道と左右の山肌を辿る道だ。道標はあるがよく分からない。真中の尾根道を選択する。この地点には標高基準点があった。二万五千図に記載されいいる標高242メートル基準点だろう。

 左手奥に山頂に大きな鉄塔のたつ顕著なピークが見えかくれする。目指す茶臼山とも思えるが、辿っている山稜と尾根が繋がっていないようにも思える。顕著なピークを一つ越える。さらに急登してピークに登りあげると、ここが茶臼山への分岐ピークであった。ひと休みしていると登山者があっちこっちから現れる。今までの人影のなさが嘘のように急に賑やかになった。

 辿ってきた主稜線を離れて茶臼山に続く尾根に踏み込む。やはり見えかくれしていた鉄塔の立つピークが茶臼山であった。下って一木口ルートを左に分けた後、茶臼山への登りに入る。

 茶臼山はこの八王子丘陵の主稜線を外れていると言えども、この丘陵の最高峰である。ハイカーの多くはこの山を主目標として登っているようである。少々急な登りではあるがわずか15分程奮闘すると茶臼山山頂に登り上げた。「桐生TTL中継所」の大きな鉄塔がそそり立っている。その影で数組の登山者が休んでいる。鉄塔の周りをぐるりと回ると360度の大展望が得られる。特に北西を望むと平地をうめ尽くす桐生の街並みの背後に悠然とそそり立つ赤城山を望むことができる。備え付けのベンチに座り握り飯を頬張る。ここまで、朝から何も食べずにやってきた。

 主稜線に戻り、縦走を再開する。次の小ピークが八王子山であった。山頂標示があるだけの平凡な頂きである。続いて、「鎖場」への分岐、「石尊宮」への分岐が現れる。現れたピークを登りあげると「根本山 275メートル」の山頂標示がある。地図にも案内書にも山名記載のないないピークである。山頂から展望が得られる。

 ロープの張られた急斜面を下ると鋪装された車道に降り立った。この八王子丘陵を真中で二分している籾山峠である。ここまででちょうど道なかばである。舗装道路に降り立ったが、反対側の山稜に続く登山道が見つからない。少々捜しまわった結果、峠の頂点から少し南に下った地点で稜線に登りあげるルートを見つけやれやれである。

 ルートはここからは少々ハードであった。次から次へと急峻な小ピークが現れる。ヒ−ヒーいいながらその一つ一つを越えて行く。出会う登山者はめっきり減った。しかも多くは単独行者である。茶臼山付近とは明らかに登山者の質が違っている。丸太で整備された急坂を登りあげると「日向山 220メートル」との山頂標示があった。ただし、このピークの下りは危険を感じる程丸太の急階段であった。そんな中トレイルランのランナーが駆け抜けていった。

 幾つ目かの小ピークをこえると菅塩峠に到着した。稜線上の顕著な按部で、南側から細い舗装道路が登り上げている。ただし、稜線を越えてはいない。標示によると、今日の終点・唐沢山まであと1.1キロである。疲労の色は濃いががんばろう。

 11時20分、ついに最終目的地・唐沢山山頂に到着した。山頂はゆったりとした雑木林の中で、四阿が建てられている。展望はないが。心落ち着く頂きである。若者4人組が先着していた。私もひと休み、ベンチに座り込んで握り飯を頬張る。

 これで、八王子丘陵の縦走は無事終了したが、実は、解決すべき大きな問題が残されている。それは荒神山駐車場に留め置いてある車までどのようにして戻るかである。計画の段階で考えを巡らした結果、次の手段を取るつもりである。

  1、この唐沢山から南麓の太田市北部運動公園へ下る。このルートは登山道があり、問題ない。
  2、太田市北部運動公園から里道をえんえんと歩いて、東武鉄道桐生線の治良門橋駅までいく。5キロ程度はある。
  3、ここから電車に乗って阿左美駅まで行く。ただし、電車は1時間に1本きりない。
  4、阿左美駅から駐車場所までは歩いて10分程度。 

 山頂から登ってきた道を5分程戻り、道標が「太田市北部運動公園」と示す登山道を下る。尾根筋の確りした登山道である。10分も下ると送電線鉄塔に出会う。若い男女のパーティとすれ違う。やがて登山道は谷筋を下るようになる。相変わらず確りした道で何の不安もない。時々竹やぶが現れる。工事中の林道を横切る。この辺りから登山道の状況は一変する。危険を感じる程の急な下り、とても一気には登れないような急登。谷に下り尾根に登り、どこへ続くとも知らぬ登山道は続く。下り一方と思っていた当ては大はずれである。もはやくたくたである。ただし、道そのものは確りしており、時折道標もありルートに不安はない。

 下山を始めてから約1時間半、道の傾斜が弛んできたと思うと、突然山中を抜け出し下界に飛び出した。集落の上部である。眼前には散在する人家と畠が広がり、遠くには高速道路が見える。「太田市北部運動公園」に下り着くと思っていたので少々慌てる。ここはいったいどこなんだ。いずれにせよ東武鉄道の治良門橋駅まで行かなければならない。

 登山道を離れ集落の中に入る。道を聞こうにも人影がない。ようやく人家の庭先に中年の婦人を見つけ治良門橋駅への道を訪ねる。「え! 治良門橋駅ですかーーー。遠いですよ。歩いて行くんですか」。呆れたように絶句した。それでも「家の前を流れる用水路に沿ってどこまでも行けば駅の近くに出る。そこでもう一度道を訪ねればーーー」と教えてくれた。

 集落を抜け、畠中の道をひたすら歩く。はるか遠くに小さな街並みらしい人家の集まりが見える。あそこが駅だろう。約1時間歩き続けて14時13分ようやく目指す駅に到着した。1時間に一本の次の電車は14時56分であった。駅のベンチに座り、ひたすら電車を待ち続ける。
 

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