比企丘陵 岩殿丘陵の物見山 

埼玉県平和資料館や岩殿観音が隣接する丘陵

2014年10月28日


 
物見山山頂 
 物見山山頂からの展望    
                            
平和資料館南側駐車場→物見山→岩殿観音→埼玉県平和資料館→駐車場

 
 概ね、北は都幾川、南は越辺川、東は関越自動車道、西はJR八高線に囲まれた地域に広がる丘陵地帯を「岩殿丘陵」と呼ぶ。別名「比企南丘陵」とも言われる。この丘陵の最高地点が丘陵東端、東松山市に位置する物見山・134.9メートルである。

 物見山という名の山はあちこちにある。「日本山名総覧」によると二万五千図に山名記載のある物見山だけで、全国に15座を数えるという。この岩殿丘陵の物見山もそのうちの一つである。標高は134.9メートルといささか低いが、山頂に二等三角点「石坂」が設置された三角点峰である。ただし、登山あるいはハイキング対象となるような「山」ではない。岩殿丘陵の大部分は「県立比企丘陵自然公園」の指定を受けており、物見山周辺もそれなりに自然環境が保全されてはいるように見えるものの、その自然環境は極めて人工色の濃いものである。周囲は大規模なニュータウン、大学、ゴルフ場、平和資料館などの教育施設等に囲まれ、大規模な開発を受けている。物見山も、ハイヒールでも歩けるようなよく整備された無数の遊歩道に囲まれている。従って、この三角点峰に「山」として登るものはいない。森の中の遊歩道散策の途中で辿る小さな高みに過ぎないのである。私も物見山の裾を通過する県道212号線は何度か車で走ったが、この山の頂きは未だ知らない。

 お杓母子山から下山をしたが時刻は未だ10時ちょっと過ぎ。このまま帰宅するのも物足りない。帰路の途中でもある物見山に寄ってみることにする。県道343号線を東に進み、石坂の交差点で北に曲がる。石坂ゴルフクラブ沿いの道を丘陵の上部に向けグイグイ登って行く。立派な道路だが通る車はない。クラブハウスへの進入路を過ぎると、前方に、そそり立つ埼玉県平和資料館の展望塔タワーが見えてくる。坂を登りきった所で左手の立派な駐車場に車を停める。

 掲げられた案内図で位置を確認し、カメラだけをもって出発する。現在位置は平和資料館のすぐ南側である。物見山は資料館の更に北側のようだ。資料館の西脇を抜け、尾根状の地形を辿って遊歩道を北へ進む。よく整備された森の中の小道である。四阿の建つ小峰を越え、いったん少し下って登り返すと、そこが物見山であった。山頂部は開けた広場となっていて、真ん中に1〜2メートルの築山のような高みがある。誰もいない。少々木々の枝が邪魔になるが、広場から南及び東側の展望が得られる。遥か彼方に、新宿の高層ビル群も確認できる。

 案内図によると、物見山のすぐ麓に岩殿観音がある。行ってみることにする。すぐ下の車道に下り、更に道標に従い細道を下ると、立派な観音堂が現れた。坂東三十三観音札所十番正法寺、通称、岩殿観音である。観音堂は山肌を背にした実に優雅な建物である。おりから参拝に訪れた老夫婦が一心に祈りを捧げている。

 巨大な1対の仁王の立つ山門を見学した後、道を戻る。途中、埼玉県平和資料館に寄ってみる。このような施設の存在はまったく知らなかった。実に立派なかつ巨大な施設である。高さ41メートルの巨大な展望塔タワーまで伴っている。入場は無料であった。巨大な館内はがらんとして他に見学者の姿はない。掲げられた説明によると、この施設は「戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えるため」設置されたとある。なぜ、このような施設を人里離れたこんな場所に、これほどの規模で建設したのかとの疑問は残るがーーー。平成5年に開館されたらしい。

 展望タワー塔に登ってみる。展望室の標高は147.5メートルもあるという。エレベーターを降りると眼前に壮大なパノラマが広がっていた。はるか遠くに新宿や大宮の高層ビル群が見え、日和田山から堂平山、笠山に続く奥比企の山並みの連なりが見える。遥か彼方には筑波山や日光連山も霞んでいる。満足して施設を出る。車までは一足長であった。

登りついた頂  
     物見山  134.9 メートル
                                 

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